労働組合は、労働者にとって大切な存在。
- 対等な立場に立って会社と真剣に向き合う
- 労働者としての地位と権利を守る
というのが、その主な存在意義です。
ここでは、これから新たに労働組合を作りたい、参加してみたいという方のために、労働組合の作り方や要件、流れ、注意点について解説します。
【参考】労働組合とは?加入の前に知るべきメリット3つと注意点3つ
労働組合とは?
そもそも労働組合とは、労働者が集まって作る組織です。
職場環境、労働条件の向上や社会的地位の向上を目指すための活動を行います。
労働組合には、
- 「同じ企業」に勤める従業員同士で結成する単位(企業別)組合
- 「同じ業種」の企業に勤める従業員同士が結成して組織する産業別組織
- 「同じ立場」の労働者たちが企業や業種を問わず結成する組織
など、いくつかの種類があります。
自分が勤める会社に労働組合があれば、そこに加入することもできるでしょう。
しかし、
- 労働組合がない
- 既存の労働組合に入りたくない
といった場合は、働く人自らが組織することも可能。
- 労働組合を結成する団結権
- 会社と団体交渉する団体交渉権
- 労働者が要求実現のために行動する団体行動権
これら3つの権利は、憲法で保障されています。
労働組合を結成するための3つの要件
正式な労働組合として組織、活動するためには、次の3つの要件をクリアしなければなりません。
- 労働者が主体となって組織すること
- 労働者の意思で結成すること
- 労働条件の維持・改善を主な目的にすること
労働組合は労働者が主体となって、自らの意思によって結成される必要があります。
勤めている会社の社長や役員、その関係者の助言や提案、支持を受けた上で結成してはダメ。
その組合は、”紐付き”の組合となってしまい、適法組織として認められません。
また、本来は、活動に関して、賃金アップの交渉や待遇の向上、労働環境の改善など、労働条件の維持、改善を主な目的として活動する必要があります。
労働組合の意義に反するような活動や取り組みは禁じられています。
全く関係ない政治活動ばかりやっている労働組合もありますが、本当はダメなのです。
労働組合を結成するまでの流れ
要件を踏まえた上で、実際に労働組合を結成するまでの具体的な流れを見ていきましょう。
1、2人以上のメンバーを集める
労働組合は、大勢のメンバーが在籍しているイメージがあります。
しかし、実は、発起人を含めて2人以上のメンバーがいれば、結成は可能です。
もし、新たに労働組合を結成するのであれば、同じ職場で働いていて、同じような問題を抱えている同僚を誘ってみると良いでしょう。
2、組合規約を作成する
メンバーが集まったら、組合規約を作成します。
組合規約とは、
- 労働組合の名称
- 活動拠点
- メンバーの権利
- その他労働組合としての方針
をまとめたものです。
組合規約は、労働組合の一員として様々な活動、取り組みをする上でのルールブックのようなもの。
抜け漏れがないようしっかり時間をかけて作成していきます。
WordやGoogle Documentで作成すればOK。
ネットで検索すれば、事例も沢山出て来るでしょう。
これは、ちょっと骨の折れる作業かもしれませんね。
3、運動方針案、予算案を作成する
組合規約に加え、運動法新案と予算案も作成していきます。
労働組合として有意義に活動するためには、まず、メンバー一人一人が抱えている問題や要求をしっかりと把握しなければなりません。
そのため、ヒアリング等を通じて、その内容を運動方針案としてまとめる必要があります。
また、活動しようとすると、当然費用が発生します。
交通費から、紙代も含めると、細々とした費用が必要になるのです。
- 具体的にどれだけの費用が必要となるのか
- 組合費の金額はいくらにするのか
- どのようにして徴収するのか
についても、ルールを決めてまとめていくようにしましょう。
4、役員を選び、結成大会を開催する
組合規約、運動方針案、そして予算案が作成できたら、労働組合のリーダー的な存在になる役員を決めましょう。
選出方法は、「直接無記名投票によって行われること」と労働組合法で決まっています。
役員が決まったら、結成大会を開催して結成を宣言し、晴れて活動が始まります。
労働組合を結成する際の注意点
労働組合を結成するにあたり、いくつか留意しておくべき点があります。
メンバーの数が多ければ良いわけではない
労働組合は、メンバーの数が大きければそれだけ、会社にとって大きな存在となります。
その分、影響力も増すため、意見が反映されやすくなるでしょう。
しかし、数が多ければ良いかというと、そういうわけではありません。
- メンバー同士が別の方向を向いている
- 認識がしっかりと共有されていない
といったことがあると、(組合に限らずですが、)組織は上手く機能しなくなります。
もちろん、メンバーを集めることも大切。
しかし、結束を深め、一丸となる努力も忘れないよう心がけましょう。
一人で躍起になって結成すると、不利益を被ることも
発起人として結成を目指す際、周囲の人たちから支持を得られないような主張や行動をしたりすると、会社に居づらくなってしまうこともあるでしょう。
結成までは順調に行っていても、いざ活動を始めるとなった時に、メンバーにそっぽを向かれ、結局自分だけが浮いてしまう、という事態に陥ることもよくあることです。
- 自分たちの主張が、本当に皆から支持を得られそうなものか
- 独り善がりでわがままな主張をしようとしているだけではないか
行動を起こす前に、よく考えてみる必要があります。
会社から圧力をかけられることも
労働組合を結成すること、組合員として活動することは、労働者の正当な権利。
しかし、会社側からすれば、「厄介な存在」に映りがちなもの。
- 表向きは良くても、裏で目をつけられて、活動を妨害される
- 勤務中に嫌がらせを受けたり、人事上不利な扱いを受ける
といったリスクがあると言うことも念頭に置いておきましょう。
管理職は労働組合を結成できない
労働組合を結成したり、参加したりできるのは、一般社員のみです。
管理職は、労働者という扱いではありません。
よって、既に管理職だと、労働組合を結成することはできません。
労働組合の作り方を知ろう
労働組合は、意外と簡単に作ることができます。
自分の権利を守ってくれる労働組合がなければ、作るということも検討してみましょう。