老後に2000万円が必要と言われる時代。
毎年100万円ずつ貯金できたとして、20年かかる計算。
何だか途方もない額を貯金しなければならないような気がしてしまいます。
サラリーマンだけでなく、個人事業主やフリーランスの方でも、老後の生活に不安を抱えている方は少なくないでしょう。
資産運用はもちろん、年金制度についても、あれこれ考えあぐねている人も多いかと思います。
ここでは、個人事業主が安心して老後を過ごすための年金制度、資金対策の方法を紹介します。
【参考】税金対策してない?知らないと損する個人事業向けの対策9つ
日本の年金制度の仕組みは3層構造
日本の年金制度は3層構造になっていると言われています。
の、3層構造です。
国民年金とは、20歳〜60歳未満の全ての日本国民が加入する制度で、年金制度の土台を成すことから基礎年金とも呼ばれます。
厚生年金とは、一般企業のサラリーマンなど、主に従業員や公務員が基礎年金に上乗せして給付を受けるための制度です。
国民年金の被保険者の種類
国民年金における被保険者は職業や職種によって第1号〜第3号までタイプ分けされます。
- 第1号被保険者:自営業者や個人事業主、経営者
- 第2号被保険者:会社員や公務員など厚生年金の加入者
- 第3号被保険者:第2号被保険者の配偶者や扶養家族
となります。
【参考】個人事業主必見!経費で落とせるもの、落とせないものリスト
個人事業主が実施すべき老後のための資金対策
第1号被保険者に該当する個人事業主らは、厚生年金や企業年金の加入が認められていません。
よって、それぞれ老後のための資金対策をする必要があります。
そのための主な年金制度、その他資金対策制度について4つ紹介します。
①国民年金基金
国民年金基金とは、国民年金に上乗せして給付を受けるための年金制度で、1991年に創設されました。
厚生年金に加入できる者と、事業主や自営業者など加入できない者の格差を是正するために設けられた公的年金制度です。
国民年金基金には、
- 全国国民年金基金
- 職能型国民年金基金
の2種類あり、第1号被保険者に該当する個人事業主は基本的に前者に加入します。
月額の掛金は原則として68,000円となりますが、経営状況、収入額によって掛金の額を柔軟に調整できるのが特徴的です。
②iDeCo(個人型確定拠出年金)
CMでたまに見るという方も多いかと思いますが、個人型確定拠出年金、通称iDeCo(イデコ)は個人事業主が加入できる年金の一つです。
原則20歳以上60歳未満の方なら誰でも加入可能で、国民年金など公的年金制度で足りない資金を補うために加入します。
拠出限度額は他の年金制度への加入状況によって異なりますが、国民年金第1号被保険者に該当する個人事業主や自営業者は月額最大68,000円の拠出になります。
iDeCoの月毎の掛け金は全て事業に必要な支出として経費計上できるため、所得控除の対象となります。
③付加年金
付加年金とは、国民年金の毎月の掛金にプラス400円を付加年金保険料として上乗せすることで、将来受け取れる年金を増やすための制度です。
オプションのようなものですが、上乗せ額が小さいので、気軽に入ることが出来ます。
国民年金の被保険者であれば誰でも加入可能ですが、国民年金基金と併用はできないため、どちらに加入するかじっくり検討する必要があります。
④小規模企業共済
小規模企業共済とは、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などが廃業、退職した時のために生活資金や老後資金を前もって積み立てるための制度です。
月額の掛金は500円を1口として、1,000〜7万円まで自由に調整することができ、掛金は全額所得控除の対象になります。
また、貸与制度も含まれており、掛金の範囲内かつ低金利で事業運営に必要な資金を借り入れることも可能です。
【参考】個人事業主が加入できる社会保険は?老後やピンチに備えよう
年金制度を利用するにあたり気をつけたいこと
以上4つが個人事業主を対象とした老後のための資金対策となりますが、これらの制度に加入するにあたりいくつか押さえておくべきポイントがあります。
①免除、猶予が受けられることも
事業を始めて間もない頃、資金繰りが不安定で、「将来の心配をしている場合じゃない!」ということもあります。
まだ安定した収入が見込めない、軌道に乗せるまで時間がかかる、と言った場合は、国民年金の支払い免除や猶予を受けられることがあります。
免除される金額は「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4段階で、収入状況や被保険者の健康状況が審査され決定します。
また、20歳〜50歳までの方で前年の所得が一定額以下の場合には掛金の納付が猶予されることもあり、10年以内なら追納も可能です。
免除、猶予を受けるためには必ず申請が必要で、未納のまま放置すると将来年金が受け取れなくなる、ペナルティを課される場合もあるため注意しましょう。
②掛金の経費計上、控除も可能
以上で紹介した制度へそれぞれ加入し、国民年金に上乗せして積み立てをすることで将来のための充実した資金形成につながります。
それに加え、月々の掛金や保険料は基本的に全額経費として計上でき所得控除の対象となることから、資金形成をしながら節税対策も見込めます。
③万が一廃業に追い込まれてしまった場合
個人事業主が何かしらの理由で万が一廃業に追い込まれてしまうことがあります。
その後の生活費は年金を始めとする社会保障制度である程度カバーすることができます。
しかし、カバーしきれない状況に陥ることもあらかじめ想定し、貯蓄や民間の個人年金保険に加入するなど他の資金形成、資金対策も欠かさずに行いましょう。
【参考】フリーランスの悩み相談サービス6選!トラブル解決のために
まとめ
保証のない個人事業主。不安は尽きないかもしれませんが、しっかりと知識をつけて対策を打っておけば、将来に対する備えを万全にすることができます。
以上を参考にし、安心して老後を暮らせるように前倒しで資金対策をしていきましょう。