家賃債務保証とは?貸主と借主の安心をつなぐ仕組みを解説

家賃の滞納は、賃貸経営において最も起きやすいトラブルの一つ。

貸主の事業に、大きなリスクをもたらすこともあります。

ここでは、入居者とのトラブル防止、リスク回避のためにぜひとも利用したい家賃債務保証について、その種類や基本的な仕組み、利用のメリット、注意点について解説します。

【参考】空室対策どうする?不動産投資で考えるべき入居率向上策5つ

 

家賃債務保証

 

家賃債務保証とは?

家賃債務保証とは、賃貸契約を結ぶ際、借主が保証人を立てられない場合等に保証会社が保証人となって家賃滞納時の立て替えをする仕組みです。

昨今の家族関係の希薄化問題や、高齢化。

このような社会背景を踏まえ、連帯保証人を立てにくい、頼める人がいない、といったケースが増えてきています。

これが、家賃債務保証制度が普及する要因となっているようです。

政府も、高齢者や子育て世帯の住居確保の円滑化を図るために利用を勧めています。

賃貸借契約における家賃債務保証の利用率は年々増加傾向にあります。

日本賃貸住宅管理協会の調査によると、2018年の時点で、その利用率は75%まで上昇しているようです。

家賃債務保証の種類としくみ

家賃債務保証には、「一般保証型」と「支払委託型」の2種類あります。

どちらも、保証会社の収入になる「保証料」は、借主が払うことになります。

では、みていきましょう。

 

一般保証型

こちらは、家賃滞納が発生した時のみ保証会社が介入する仕組みです。

まずはその滞納分を貸主に弁済した上で、借主に請求することになります。

 

支払委託型

一方、支払委託型は、滞納時に限りません。

毎月の家賃回収業務を保証会社に委託するタイプになっています。

【参考】サブリース契約とは?初心者の不安に付け込る手口の注意点!

 

家賃債務保証を利用するメリット

入居者と賃貸契約を結ぶ際、保証人を立てさせるのではなく、家賃債務保証を利用することで、物件を賃貸に出すオーナーにとって多くのメリットがあります。

 

1. 家賃滞納によるリスクを防げる

一番のメリットは家賃滞納によるリスクを防げることです。

万が一、借主が家賃を滞納したとしても、その種類問わず保証会社が弁済してくれます。

そのため、家賃を回収できないという事態に陥りません。

また、滞納時の督促などの手続きは基本的に保証会社が行うことになります。

その手間が省けるのも魅力です。

 

2. 経営が安定する、事業プランが立てやすくなる

家賃債務保証を利用する場合、入居者さえ見つかれば毎月の収益が入ってくることは確約されます。

そのため、経営が安定し、今後の事業プランも立てやすくなります。

 

3. 入居者の間口が広がる

賃貸契約を交わす際に、連帯保証人を立てさせるのではなく、保証会社を利用することで、入居者の間口も広がります。

事情によって連帯保証人を立てられない、という人は少なくありません。

家賃債務保証があれば、そのような人からの入居申込みでも受けやすくなるでしょう。

入居者となるターゲット層が広まり、空室発生のリスクも回避しやすくなります。

【参考】空室保証とは?サブリース契約との違いや加入のメリット

 

家賃債務保証利用時の注意点

家賃債務保証は、貸主と借主の安心をつなぐための制度。

しかし、何事にも、利用する際にはいくつか注意すべき点があります。

 

1. 入居審査は保証会社によって行われる

家賃債務保証を利用する場合、入居希望者の入居審査、信用調査は保証会社が行います。

そのため、貸主だけの判断で入居者を選ぶことはできません。

保証会社がNOと言えば、契約はできないのです。

そのため、間口は広がっても入居者が決まらないという可能性はあります。

 

2. 保証会社による執拗な督促などが起きると、物件の評判が落ちることも

当然ですが、保証会社は、保証して家主に支払ったお金を、今度は借主から回収します。

  • 家賃滞納者に対して強引な督促をする
  • 強制退去をさせたりして問題になる

そのような保証会社も過去にはありました。

そして、それがSNSで拡散されたりすると、家主や物件の評判にも影響しかねません。

どの会社に委託するのかは慎重に判断する必要があるでしょう。

保証会社を選ぶ際には、国の認可を受けている家賃債務保証事業者協議会に所属している会社を基準にして選ぶのが無難でしょう。

【参考】媒介契約どれがいい?一般、専任、専属専任を比較してみる

 

家賃債務保証を賢く使って安定した経営を

家賃債務保証を利用する場合、保証料は基本的に入居者が負担することになります。

部屋を貸す側からすると、心苦しいと感じてしまうこともあるでしょう。

しかし、貸主、借主、お互いが安心して付き合っていくためには、今や欠かせない仕組みとも言えます。

前向きに利用を検討して行きましょう。

【参考】家賃の値下げ交渉は応じるべき?賃貸経営における判断の基準は

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