会社組織を運営していると、様々な問題に直面します。
- 社員が積極的に働かない
- 誰もチャレンジしようとしない
- 互いに責任を押し付け合おうとする
- 皆がなるべく自分の仕事を減らそうとしている
これらは組織に蔓延する「事なかれ主義」の兆候かもしれません。
これが蔓延してしまうと、気付かぬうちに徐々に組織が腐敗し、衰退してしまいます。
この記事では、事なかれ主義とはそもそも何なのか、その意味合いを踏まえた上で、発生する主な原因と弊害、改善策について解説します。
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事なかれ主義とは?
事なかれ主義とは、トラブルや面倒を嫌い、何事も穏便に収めよう、何かあった際には自分が折れてなんとか上手くまとめよう、面倒は極力避けよう、とする考え方や行動様式を意味します。
- いざという時に他人のせいにして、自分に責任が課されないようにする
- 普段からなるべく自主的な行動したりすることを避ける
- 基本的に他人任せにする
このようなことも、事なかれ主義の典型的な特徴と言えます。
- 事なかれ主義の組織は、
- 相手に配慮できる人が多い
- 場の空気を読める人が多い
としてプラスに捉えられる場合もあります。
しかし、基本的には、
- 人材が育たない
- ストレスが溜まりやすい
という悪い側面もあるのです。
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事なかれ主義が発生する主な原因と弊害
そもそもなぜ、事なかれ主義が職場で発生してしまうのでしょうか。
その原因と弊害を見ていきましょう。
トップや上司が独裁的、独断的
まず、以下のようなケース。
- 会社の経営陣や部署部門のトップが独裁的
- 極端なトップダウン型のカルチャー
このような組織は事なかれ主義が発生しやすいでしょう。
- 何か意見を言っても無視されたり否定されたりする
- 自分から行動したものに厳しく責任を問われる
このようなことが頻繁に起こると、皆、やる気がなくなってきます。
減点主義のカルチャーがある
次に、金融機関や公務員職でありがちですが、減点主義のカルチャー。
これも、事なかれ主義を引き起こす可能性があります。
減点主義の組織の場合、ボーナスの査定に影響するなど、失敗時のダメージが大きいのが特徴。
自分にバツがつかないように、
- 大きな仕事を他人任せにする
- とにかく減点されることを恐れて言われたことだけをやる
というようになってしまいます。
公務員や銀行員の場合は、何よりもまず安定した質のサービスを提供することが重視されます。
そのため、一概に事なかれ主義が悪いとも言い切れません。
しかし、民間の企業などでは、新しいことにチャレンジする人や自主的に動こうとする人が減ってしまいます。
そうなると、会社は硬直化し、徐々に競争力を失っていくでしょう。
能力が低いのに出世できるしくみがある
際立った能力やスキルが無くても、長く勤めているだけで出世できる仕組みがあるような、昔ながらの日本企業でも、事なかれ主義が横行します。
そのような組織には、勤続年数だけでのし上がった、プライドの高い年配社員が多いもの。
若くて優秀な社員を恐れ、下手に動いて足元を掬われることのないよう、保守的な行動を取ろうとするためです。
しかし、その結果、大した仕事もしないで高い給料をもらっている年配社員が増えることになります。
そして、不満を持つ若手社員が増え、
- モチベーションが下がって生産性が落ちる
- 優秀な若手がどんどん辞めていく
といった事態に陥ることもあるのです。
事なかれ主義の蔓延を防ぐには?
それでは、事なかれ主義の蔓延を防ぎ、社員が主体性を持って働ける組織を作っていくにはどうすれば良いのでしょうか。
トップが意識を変える
まずは、会社のトップが意識を変えなければ何も変わりません。
事なかれ主義が発生している事実と、それによって生じている弊害に目を向けましょう。
変えようとする意識を持ち、具体的な解決策を練りましょう。
とはいえ、事なかれ主義に陥った組織のカルチャーを変えるのは並大抵のことではありません。
挑戦を評価する制度や仕組みを導入する
また、誰もが挑戦しやすい評価制度や仕組みを新たに導入するのも良いでしょう。
これは、よくある解決案の一つ。
少なくとも、何か新しいチャレンジをして、万が一失敗した際に、その人を非難したり、評価を下げるような仕組みや体制が現状であれば今すぐに見直すべきです。
- 挑戦する人ではなく、挑戦しない人
- 現状維持で良いと思っている人
このような人が結果的に得するような仕組みを廃止することが、事なかれ主義の解消に繋がります。
能力に見合った組織や人員配置にする
優秀なスキルや行動力を持った人がいるだけではダメで、彼らが十分に力を発揮できるポジションにいることが必要です。
そうしなければ、結果的にモチベーションが下がってしまい、事なかれ主義に陥ってしまう要因にもなります。
ある程度の経験を積ませるために、配置転換を繰り返すことが必要となるケースもあるでしょう。
しかし、ある程度個人の能力や適性が見えてきたら、能力に見合った環境を提供してあげることも、組織のトップや管理職に求められます。
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事なかれ主義の蔓延を防いで組織の活性化を
一度、事なかれ主義が蔓延ると、そこから脱するのはなかなか難しいものです。
もちろん、そうなる前に対策を講じるのがベストです。
しっかりと現実に目を向けて、活気ある組織づくりに取り組みましょう