「プロボノ」と呼ばれる活動が今、世界中で広まりつつあります。
あまり聞きなれない言葉ですが、初めて目にしたという人もいるかもしれません。
イメージとしては、「ボランティア」に近いかもしれません。
しかし、いわゆる「ボランティア」とは異なり、求められる資質や、得られるメリットに違いがあります。
ここでは、プロボノとはどんな活動なのか、従来のボランティアとの違いも踏まえた上で、国内における主な事例や、社会人がプロボノワーカーとして活動するメリットを紹介します。
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プロボノとは?
プロボノとは、ラテン語で「Pro Bono Publico」(公共善のために)」と言う意味があり、職業上の専門スキルや知識を活かして、原則無償で行う社会貢献活動です。
基本的にはどこかのNPO法人で、そこのスタッフとして活動することになります。
そして、自分の持っているスキルや経験を、社会のために役立てていきます。
ボランティアと混同されることがよくあります。
しかし、ボランティアは専門スキルが問われない、という点が大きく異なります。
プロボノの始まり
1980年代ごろのアメリカで、経済的余裕がない方のために弁護士や法律家らが無償で法律相談を行ったのがプロボノの起源とされています。
それ以降、法律分野の活動だけではなく、マーケティングや人事、IT、子育て、教育など、あらゆる分野におけるプロボノ事業が世界中で広まりました。
日本国内でも、プロボノワーカーとして社会貢献活動に従事する人も増えてきています。
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主なプロボノ事業
それでは、国内の主なプロボノ事業の例をいくつか見ていきましょう。
NPO法人サービスグラントの「ママボノ」
有名なプロボノ事業の一つに、NPO法人サービスグラントの「ママボノ」があります。
「ママボノ」とは、育休復帰や再就職、子育てと仕事の両立など目指す女性を支援するためのプログラム。
実際に出産や子育ての経験のある女性たちが第一線に立っているのが特徴。
大阪、東京など、都市部を中心に活動しています。
サービスグラントでは、「ママボノ」以外にも、障害者支援や町おこしなど、幅広い分野で活動しています。
プロボノに興味のある方は、調べてみて、説明会に参加してみるのも良いでしょう。
自治体が主催する無料法律相談
全国の自治体、役所などで定期的に行われている無料法律相談もプロボノ事業の一つ。
トラブルに巻き込まれている方、日々の暮らしの中で不安事を抱えている方を対象に、
- 弁護士
- 司法書士
等が無料で相談業務を行います。
法律関連の資格をお持ちの方で、社会貢献活動に興味のある方は相談員としてぜひ参加してみましょう。
民間企業のアドバイザー
自身の経験や知見を活かして、若手起業家やスタートアップ企業を資金面、経営面から適切なアドバイスをするアドバイザーとして活動している人もいます。
- 金融業界で活躍している人
- 複数の会社を経営するベテラン事業家
が、趣味でやっているようなケースです。
コンサルタントとして企業に出向き、ヒアリングやアドバイスをしたり、若手起業家らを集めて、講演会を開いたりすることが主な活動です。
国際的な活動を行うNPOでの通訳、翻訳
難民支援や発展途上国の支援など国際的な活動をしているNPO団体では、
- 語学が堪能な方
- その他の専門的なスキル、資格を持っている方
が、通訳や翻訳家として活動しています。
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プロボノワーカーとして活動するメリット、魅力
本業が忙しい方にとっては、やりたくてもなかなか難しいプロボノ。
しかし、プロボノワーカーとして活動することで社会にとっても、自分のキャリアにとっても多くのメリットがあります。
知見や人脈が拡がる
社会貢献できるのはもちろん。
本業とは別の組織、メンバーの一員として活動をすればで新たな「気づき」が得られます。
活動を通して、
- 世の中の人がどんな問題を抱えているのか
- 社会にはどんな課題が残されているのか
を肌で感じ取ることができます。
自分が持っているスキルや経験をもっと高めようと思えたり、社会のために活かしていこうと言う意識が生まれたりするでしょう。
キャリアアップにつながる
プロボノ事業に参加し、型にはまらない活動をしていくことで、自身のキャリアアップにも繋がるかもしれません。
現在持っているスキルの他に、どんなスキルや資格が社会のためになるのか考えるきっかけになります。
それを取得しようとするモチベーションが高まり、実際に行動すれば、新たなスキルを身に着けるきっかけにもなるでしょう。
転職の際の自己PRになる
最近では、NPO法人に限らず、一般的な民間企業も社会貢献活動を始めるところが増えてきました。
就職や転職の面接時にプロボノでの実績や経験をアピールできれば、企業から良い印象を得られて、採用されやすくなります。
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プロボノに参加してみよう
プロボノは、原則としてに無償で行う活動です。
しかし、事業内容によってはある程度の責任を伴うこともあります。
ボランティアとは、また違った感覚が求められるかもしれません。
興味があれば、積極的に参加してみましょう。