職場において、ハラスメント問題は決して切り離せないことの一つ。
時代の変化、価値観の変化によって新しいハラスメントが生まれることもよくあります。
上手く時代の波を見極め、上手に危険を避けるのも、これからの時代に必要なスキル。
ここでは、ビジネスパーソンなら知っておくべき、職場で発生しやすいハラスメントの事例について8つほど紹介します。
【参考】ハラスメントとは?知っておきたいこんなものまで「●●ハラ」
ハラスメントの事例:「上司と部下」系
1. 逆パワハラ
パワハラとは、通常、職位の高い者から低い者への嫌がらせを指します。
しかし、逆パワハラとは、この逆パターンで。
部下から上司に対する暴言や暴力、それに近い行為を指します。
「そんなことあり得るの?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、これは単なる造語や言葉遊びではないのです。
逆パワハラもパワハラの一種であると、厚生労働省も定義しています。
これは、部下から上司への暴言や暴力以外に留まりません。
上司から叱られたり、無理な要求をされたりした際の腹いせとして、
- 「嫌がらせを受けた」
- 「パワハラを受けた」
- 「セクハラを受けた」
など、架空の被害をでっち上げて、故意に悪評を広めたり、一方的に悪者扱いしたりする行為もあります。
組織でこのような逆パワハラが横行し、何の対策もしないまま放置してしまうと、組織の秩序そのものが揺らいでしまいます。
早急な対応が必要です。
2. ソーハラ
ソーシャルメディアハラスメント、通称、「ソーハラ」。
これは、LINEやTwitter、その他SNS、ビジネスチャットツール上で行われる嫌がらせ行為全般を指します。
たとえば、
- グループチャットへの参加を強要する
- すぐに返信するよう要求する
- ビジネスとは関係のないメッセージを送り関係を迫る
といった行為が該当します。
また、社員のプライベートアカウントを特定し、干渉するのもソーハラと見なされます。
リモートワークの普及に伴い、非対面上でコミュニケーションをする機会が増えたことがソーハラの実態が明らかとなった一つの要因とされています。
防止策として効果的な方法は、
- 従業員で共通のSNS、チャットツールを使用する際に事前にルールを決めること
- それらのツールを会社がしっかりと把握、管理すること
です。
【参考】オワハラとは?刑事罰にもなり得る行為の危険性とデメリット
ハラスメントの事例:「ジェンダー、年齢」系
3. エイハラ
エイジハラスメント、通称、エイハラ。
年齢を理由に不当な扱いをしたり嫌がらせしたりするハラスメントです。
従来は若手の社員が、年配社員に対して時代感覚の鈍さや最新技術、トレンドの疎さを理由に非難したり、誹謗中傷したりすることとされていました。
また、「年下が上司」というケースも増えてきています。
「いい年して、そんなこともできないの?」
といったことを、年下の部下に言い放つのも、エイジハラスメントになります。
4. マリハラ
これは、マリッジハラスメントと言われることもあります。
男女問わず、結婚や男女関係に関する不躾な質問をして困らせることです。
たとえば、
- 「〇〇さんは結婚しないんですか?」
- 「いい人紹介しようか?」
- 「子どもは作らないの?」
- 「早く結婚した方がいいよ」
などの質問を投げかけることです。
これは、他のハラスメントに比べれば悪質性は少ないかもしれません。
むしろ、当の本人は善意であることすらあります。
しかし、聞かれる側にとっては、デリケートな話題である可能性も高いもの。
結婚に対する価値観も時代によって変わってきているため、なるべく話題にしたり、しつこく聞いたりするのは控えましょう。
SOGIハラ
SOGIとは、Sexual Orientation and Gender Identityの略。
文字通り、性的マイノリティの方に対して差別的な発言をしたり、不当な扱いをしたりすることです。
そのような人に対して、たとえ知らなかったとしても、
- 従来の価値観を押し付けたり
- 交際や結婚に関す質問を投げかけたり
といったこと自体が、SOGIハラの対象行為となり得ます。
また、他人の性的嗜好を勝手に周囲にバラす、いわゆるアウティング行為もSOGIハラに含まれます。
ハラスメントの事例:その他
ロジハラ
ロジハラとは、ロジック(正論、倫理)を武器にして相手を執拗に追い詰めたり、威圧したりすることです。
もちろん、筋の通った発言や行為はビジネスシーンで求められることの一つ。
しかし、相手を傷つけたり、嫌がらせたりするために、正論や倫理を振りかざすのは精神的な暴力行為に他なりません。
真面目で、正直な社員ほどロジハラの被害を受けやすいもの。
- 言われたことを間に受けて自信が無くなる
- モチベーションが低下する
といったことがあると、組織にとっても損失になります。
ロジハラの厄介なところは、加害者が、
- 自分は正しいことを言っている
- 間違っていない
と思っているケースが多いことです。
これにより、知らぬ間に相手を傷つけていることもあります。
未然に防ぐためには、相手を思いやる気持ちを少しでも持つことが大切です。
言葉の使い方を、考えましょう。
セカハラ
いわゆる、セカンド・ハラスメント。
これは、何かしらのハラスメント被害を受けた人が、窓口や上司に相談して、その告発が周囲にバレ、二次的にバッシングを受けることです。
これは、対策や管理が十分に行き届いていない組織にありがちなハラスメントの一つ。
このようなことがあると、問題がいつまでも長引いて、被害者が苦しみ続けてしまいます。
唯一の対策は、相談者の匿名性を守り、管理を徹底することに尽きます。
スメハラ
スメルハラスメント、通称、スメハラ。
これは、臭いによる嫌がらせです。
- 口臭
- 体臭
- 衣類の柔軟剤
- 香水
- タバコ
- コーヒー
等の匂いがスメハラの原因になります。
誰でも、自分が発する臭いには気づきにくいもの。
そのため、いつの間にか周囲に迷惑をかけているというケースも多いものなのです。
よって、注意するにも、相手が傷つかないように十分な配慮が必要。
なかなか難しい問題の一つでもあります。
ハラスメントの加害者にならないようにしよう
ここでは、ハラスメントの事例について8つほど紹介しました。
もちろん、ここで紹介したもの以外にも、ハラスメントはたくさんあります。
職場は、年齢、性別、思考が異なる、さまざまな人間が集まる空間。
そのためあらゆるタイプのハラスメントを引き起こす原因が潜んでいます。
その数は無数にあり、また、新たなハラスメントが生まれることもあるため、全てに対処しようとしても無理があります。
しかし、意識しないうちに、被害者・加害者になり、会社の雰囲気を悪くすることも。
皆がしっかりと意識を持って、ハラスメントを起こさないことが重要です。