採用面接は企業が独自のスタイル、評価基準を設けて実施するものです。
しかし、独自とはいえ、厳守すべき面接のルールがいくつか存在します。
そこで、面接官なら知っておくべき、面接の基本ルールや、してはいけないタブーな質問、行為について、例を挙げながら詳しく解説していきます。
面接でのタブーな質問とは
- どんな人材を必要とするのか
- どんなスキルを求めるのか
これは、採用を行う企業が自由に決められること。
しかし、採用面接、選考の仕方に関しては、好き勝手やって良いわけではありません。
業種や業態問わず、全ての事業所、企業が守るべき2つのルールがあります。
オープンに求人する
1つめが、その条件に当てはまるすべての人が応募できるようオープンすることです。
国籍、性別、障がい、性的嗜好など特定の人を除外してしまうのはダメ。
をはじめ、雇用関係の法律に違反してしまうことがあります。
本人の努力をもって改善できない事由で就職差別しない
2つ目は、本人の努力をもって改善できない事由で就職差別しないことです。
原則として、
「募集するポジションで働く上で必要なスキルや適性があるか」ということだけで判断します。
それ以外の要素で判断してはいけません。
これらのルールに違反してしまうと、
- 罰金や罰則が課される
- 候補者から人権侵害、プライバシーの侵害として訴えられる
といったことが起こり得ます。
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面接でのタブーな質問
それでは、具体的に面接で聞いてはいけないタブーな質問について見ていきましょう。
宗教、思想に関して
- 信仰している宗教はあるのか
- どんな宗派に属しているのか
- どんな思想を持っているのか、
その他宗教、思想に関して面接の場で質問するのは非常に不適切です。
憲法によって信教の自由が保証されている以上、
- 思想や宗教に関して聞くこと
- 評価基準の一つにすること
は差別的になります。
政治に関して
政治に関する質問もしてはいけません。
- どの政党を支持しているのか
- 尊敬する政治家は誰か
といったダイレクトな質問に加え、
- 購読している新聞や
- 政治に関する雑誌や書籍
について聞くのもアウトです。
労働組合、学生運動、その他社会運動の加入、活動に関して
労働者によって結成される労働組合や学生による学生運動、その他社会運動に加入しているかを聞いてはいけません。
加入していた場合、その活動内容に関する質問も原則としてNGです。
候補者の出生、家族に関すること
出身地や兄弟姉妹の有無などはついつい聞いてしまいがちです。
しかし、それも面接でしてはいけない質問です。
実際、履歴書の学歴欄を見ればある程度わかってしまうという側面はあります。
しかし、移住などがあれば、その背景に関する質問はしてはいけません。
また、両親の職業や年収についても聞いてはいけません。
候補者の生活、住まい、その他プライベートなことに関して
候補者自身のことについても、プライバシーに踏み込み過ぎてはダメです。
- 現在住んでいるところの詳細な場所
- 部屋の間取り
- その他プライベートな質問
これらは、プライバシーの侵害にあたるためNGです。
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選考でしてはいけない行為
以上、5つの質問以外にも、選考の際にしてはいけない行為がいくつかあります。
身元調査
身元調査は、明治時代以降からつい最近まで行われていました。
これは、同和地区出身者を雇用しないという地域差別の因習によって、採用面接を始め、あらゆる場面で行われてきました。
現在でも、その因習とは別の理由で企業が専門の業者に候補者の身元調査を依頼することがあります。
しかし、プライバシー侵害や人権侵害に抵触しやすいため控えた方が賢明です。
戸籍謄本、住民票などの提出要請
身元調査を行わなくても、戸籍謄本や住民票を見ることによって出生地や本籍地がわかってしまうもの。
内定前、後にかかわらずそれらを提出するように要請することも禁じられています。
健康診断の受診の強制、結果を合否判定前に提出させる
内定を出す前に健康診断の受診を強制したり、その結果を提出させることもNGです。
ただし、電車やバスの運転士など特定の職業の場合はOKのこともあります。
健康診断にかかわらず、ストレスチェックなど、その他候補者の心身の健康を確認するための検査も同様です。
不適切な内容が含まれる履歴書を書かせる
候補者が提出する履歴書は、一般的にJIS規格の市販のものになります。
企業によっては独自の募集フォームを用意し、それを用いて選考を進めるケースもあります。
その場合には、以上で挙げた内容に関して記入させるための欄が含まれないよう、候補者に十分配慮する必要があります。
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面接でのタブーには注意しよう
上で述べたように、面接にはタブーがあります。
場を和ませるため
候補者の緊張をほぐすため
など、タブーに触れてしまう人は、悪気がないケースが大半。
しかし、たとえ悪気がなくてもルール違反をすると、会社側が思わぬ損害を被る可能性も。
そのようなことが発生しないように、採用担当者へのルールの徹底、候補者への配慮をした上で選考を実施しましょう。