賃貸経営には空室リスクが付き物。
余程特殊な事情がない限り、空室リスクの発生に備えなければなりません。
そして、そのリスクを回避するための制度もあります。
それが、空室保証とサブリース。
ここでは、空室保証制度について、サブリース契約と比較しながら、その特徴や加入のメリット、デメリットについて解説していきます。
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空室保証とは
空室保証とは、専門の保証会社と契約を結び、月々の保証料を支払うことで、家賃収入が満室時と比べて一定の数値を下回った際に、その差額を補填してもらうサービスです。
代表的な会社をいくつか挙げると、
などが列挙されるでしょう。
多くの場合、空室保証では、満室時と同等の収入が補填されるわけではありません。
しかし、保証会社によって補填率は異なるものの、約8割~9割の額が補填されます。
空室保証への加入は任意。
しかし、加入しておくことで、万が一空室が発生しまった際に被ることになる収入面での損失を最低限に留めることができるのです。
サブリース契約による家賃保証との違い
空室保証と似ている制度として、サブリース契約の家賃保証があります。
サブリースは、不動産会社との間に、所有している物件を一括借上げしてもらう契約を結び、オーナー代わって管理業務、運営業務を任せる制度です。
サブリース契約では、そもそも稼働率や空室の有無にかかわらず、管理業務の手数料が発生することになります。
そして、オーナーは元々の家賃収入の7割〜9割を、毎月一律で受け取ることになります。
つまり、サブリースにも家賃保証が含まれていますが、空室がなくても家賃収入は一定の額よりも増えることはないのです。
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空室保証のメリット
まず、空室保証に加入するメリットをサブリース契約と比較しながら見ていきましょう。
1. 稼働率によって収入が増える
空室保証は空室が発生している時のみ適用される制度。
そのため、サブリース契約とは異なります。
稼働率が高ければ、それだけ家賃収入の額は増えるのです。
もちろん、月々の保証料は空室に関係なく支払う必要があります。
そのため、収入額があらかじめ決まっているサブリース契約よりもお得感を感じられるかもしれません。
2. 収入が安定する
空室保証に加入すると、通常の家賃収入よりも1〜2割程度減ることがあります。
しかし、加入していないケースと比べて、月々の収入額の振れ幅が緩やかになるため、収入が安定します。
何の保証にも加入していない状態で空室が発生すると、その部屋の家賃収入が丸ごとなくなります。
そうすると、管理費など諸経費が発生するだけになり、経営が傾く原因にもなります。
3. 融資を受けやすくなる
収入が安定することで経営そのものも安定し、継続的な収益が見込まれます。
その結果、金融機関からの融資も受けやすくなるでしょう。
キャッシュフローの改善など、事業において多くの恩恵を受けられるのです。
4. 更新料、礼金、敷金がオーナーの手元に入る
入居者が部屋を借りる時や、更新日を迎えた時、その物件の管理者に対して賃料とは別に敷金や礼金、更新料を払うことになります。
サブリース契約を結んでいる場合、それらを受け取る権利は不動産会社に移ってしまいます。
しかし、空室保証の場合、それら全てをオーナーが受け取ることができます。
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空室保証のデメリット
次に、空室保証のデメリットについて見ていきましょう。
加入が必ずしもプラスになるとは限らないという話です。。
1. 空室リスクの発生率が低い物件だと、損することもある
たとえば、好立地にある人気の物件。
- 全室すぐに埋まる場合
- 退去しても新しい入居者がすぐ見つかる場合
このようなケースでは、補償を受ける機会がほとんどないでしょう。
そのため、毎月の手数料だけが無駄にかかってしまいます。
これは、実際に事業を始めてからでないとわからないことも少なくありません。
しかし、加入するかしないかは、早い段階でしっかりと見極める必要があります。
2. 管理業務は含まれない
空室保証の内容には、サブリースのように、入居者の募集や入退去の手続き、その他の管理業務は一切含まれません。
そもそも、契約先が不動産管理業者ではなく、保証を専門に扱っている業者になるため当たり前のことではあります。
空室保証に加入する場合、管理業務を誰が行うのか、という点についても忘れずに考えておきましょう。
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空室保証を上手く使って安定した経営を
月々の家賃収入が安定する、融資を受けやすくなるという点で空室保証は非常に魅力。
有意義な制度であることは間違いありません。
しかし、通常時の稼働率が良好で空室リスクの発生が低い物件の場合、加入してしまうと単に保証料の負担が発生するだけになってしまうケースもあるため注意が必要です。
管理業務は誰が行うのかという点も十分考慮し、サブリース契約も視野に入れて慎重に加入を検討していきましょう。