急激に変化しているビジネス環境。
それに伴い、社会で求められる人材や、人物像も常に変化し続けています。
そしてもちろん、働き手も時代に合ったスキル、力を持つことが求められます。
そんな中で、注目されているのが、「T型人材」というタイプ。
ここでは、これから本格的にデジタル革命に直面する時代を迎えるにあたり注目されているT型人材について、その意味や求められるスキル、能力について紹介します。
【参考】シニア人材とは?雇用するメリットと注意点、採用方法を解説
最近よく聞くT型人材とは?
T型人材とは、いわゆる大企業での総合職にあたる従来型人材(ゼネラリスト)と、SEやプログラマーといった専門知識やスキルを持ったスペシャリストの両方の特性を合わせ持った人材です。
「T」は、
- ゼネラリストの知識の広さを示す「ー」
- スペシャリストの知識の深さを示す「I」
を合わせたもの。
特定の分野で専門的な深い知識を持ちつつ、専門分野以外にも幅広い知見がある。
それによって、
- 常識に囚われない柔軟な発想
- イノベーションの創出
に貢献できると期待されています。
なぜ今T型人材が求められるのか
終身雇用が機能していた一昔前までは、幅広い分野で柔軟に活躍できるゼネラリストが各業界で重宝されていました。
一つの職種を突き詰めるより、幅広い経験を積んで、組織全体を理解できる人材です。
しかし、人材が流動化し、働き方改革が進むことで、状況が変わってきています。
従来の型にはまらない働き方や、イノベーションの創出が求められるようになり、ゼネラリストとして働き続けることは限界に近づきつつあるとも言われます。
更に、デジタル革命により、ITやAIに人の仕事が取って代わられつつあります。
自分自身の需要を見出すためには、より高度な専門スキルを持ちつつ、臨機応変に物事に対応していくことが求められるようになっているのです。
つまり、技術革新の高速化やそれによる競争激化といった社会の変化が、T型人材が求められる背景にあるのです。
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T型人材以外の新しい人材の種類
実は、T型以外にも新しい人材のタイプは複数あります。
Π(パイ)型、
△(トリプル)型
H(エイチ)型
というものです。
Π型
Π型は、2つの専門分野のにおけるスペシャリスト。
それに加え、幅広い分野での知見を持っている人のことで、ダブルメジャーとも呼ばれます。
△型
次に、△型。
これは、さらにもう一つの専門分野に精通しているスペシャリストで、トリプルメジャーとも呼ばれます。
△型の場合は、他の分野での知見の有無は問われないとされます。
H型
最後がH型。
これは、2つの専門分野におけるスペシャリストであることに加え、それぞれ別領域の分野の橋渡し的な役割を担う立ち位置です。
自分自身が媒介となって、イノベーションを創出することが期待されています。
T型人材に求められるスキル、力
専門的な知識と幅広い知見を持っていることに加え、T型人材として活躍していくためには以下の3つの力、スキルが必要とされます。
1. 主体的に行動し、成長する力
ただ上司の指示を待って行動するだけではありません。
自分から積極的にアイディアを出したり行動したりすることが、第一に求められる力です。
社会情勢やニーズの変化にすぐ対応するためにも、常にそれらにアンテナを張りつつ情報収集を行います。
成長するために常に学び続けるというハングリー精神が欠かせません。
2. 自ら答えを導き出す力
ビジネスの現場では、最初から明確な正解や結論が提示されていないことがほとんど。
そのため、常に自分の力でその答えを導き出さなければなりません。
それには、試行錯誤を繰り返しながら、諦めずに粘り続ける力も重要です。
3. アナロジー思考を持って行動する力
アナロジー思考とは、未知の物事について、既知の理論、根拠を元に推論する思考方法。
VUCAと呼ばれる、将来が全く予想できない今の時代。
「わからない」
「答えがない」
「先が見えない」
そのようなリスクをアナロジー思考で最小限に抑えつつ、新たな市場の開拓やリーダーとして周囲を牽引する力や素質もT型人材に欠かせないことです。
T型人材を目指そう
専門性のないジェネラリストから、T型人材になることで、自分の市場価値を高めることができます。
そして、予測不可能かつ不確実性に富んだVUCAの時代でも、周囲と差をつけ活躍できたり、キャリア形成しやすくなったりするといったメリットもあります。
とはいっても、専門性を身に着けることは簡単にできることではありません。
今置かれている環境で満足するのではなく、自分で勉強して積極的に専門知識を身につけたり、新しいことにチャレンジしたり、出来ることはたくさんあります。
新たな時代に適応していくためにも、T型人材として必要な力、スキルを鍛えていきましょう。