出向とは?左遷とは限らない!メリット・デメリットは

「出向」と聞くと、何を思い浮かべるでしょうか。

実質的なリストラだと思う人もいるかもしれませんが、それはドラマの見過ぎです。

自社の社員を派遣する出向は、会社だけでなく社員の成長も期待できる有意義な制度の一つ。

ここでは、ビジネスパーソンなら絶対に知っておくべき、出向に関するメリット、デメリット等、出向の基礎知識について解説します。

【参考】玉突き人事とは?ジョブローテーションと何が違ってどう問題

 

出向

 

出向とは?

出向とは、現在勤務している会社に籍を残したまま、子会社や関連企業に派遣し、そこで一定期間仕事に従事させる人事異動の一種です。

多くの人は、「左遷」というイメージが先行しがちかもしれません。

しかし、それはテレビドラマの影響によるもの。

実際は、必ずしもそうとは限らないのです。

これには様々な目的があり、

  • 経営・技術指導
  • 社員のキャリア形成
  • 能力開発
  • 雇用調整

といった名目で実施されます。

もちろん、「左遷」という意味合いも、ないわけではありませんよ。

また、出向が行われるのは、民間の企業に限ったことではありません。

役所などに勤める公務員が、民間の実情を公務に反映させるために民間企業に派遣されることもあれば、逆に、民間の銀行などが将来の幹部育成のために、銀行員を財務省経済産業省といった公的機関に派遣したりすることもあります。

 

出向の期間、待遇に関して

実は、出向に関する法的な規定や取り決めはありません。

どこに、どれくらいの期間、社員を出向させるかは、自由裁量で決められます。

しかし、基本的には2~3年、長くても5年程度が一般的とされます。

また、対象となる社員の待遇や業務内容は、基本的には出向先の企業の方針に従うことになります。

しかし、これを機とした大幅な減給は労働基準法で認められていません。

その点は心配しなくても大丈夫でしょう。

【参考】労働組合とは?加入の前に知るべきメリット3つと注意点3つ

 

出向させる企業側のメリット、デメリット

まず、自社の社員を他社に出向させるメリットについて見ていきましょう。

 

解雇者を出さずに労働力や人件費を調整でき、士気やモチベーションを保てる

企業によっては、人が増えすぎて、労働力を持て余してしまうことが稀にあります。

そんな時、社員を出向させれば、解雇者を出さずに労働力や人件費の調整が可能です。

辞めさせるわけではありません。

よって、社員、周囲の士気やモチベーションを一定程度維持できます。

 

新しい経験で学んだ知見を自社に還元してもらえる

出向は、他社の内情や仕事の進め方を学べる良い機会でもあります。

出向した社員が学んできた知見を自社に還元してもらえることもできるでしょう。

その結果、自社を客観的に見て、改善策を練ったりできるかもしれません。

 

それでは、デメリットについても見ていきましょう。

 

出向内容の取り決めや契約書の作成に時間がかかる

出向を実施するには、出向元と、出向先との間で、契約を結ぶことになります。

仕事内容や役職、期間、待遇、万一の時のリスク負担、といった内容を細かく取り決めます。

その際、認識のズレや契約内容に不備があると、後々大きな問題に発展することもあります。

人に関する話なだけに契約は慎重に締結する必要があります。

よって、時間や手間暇をかけて面談や契約書の作成をしなければなりません。

【参考】社内転職制度とは?メリット、デメリットと運用のポイント

 

出向する社員側のメリット、デメリット

では、出向する社員側のメリットについて見ていきましょう。

 

心理的負担や経済的な損失が少ない状態で他分野での経験、キャリアを積める

原則として、出向は、元いた会社や組織に戻る前提で実施されます。

基本的に、出向元と出向先の細かな擦り合わせを経て話が進みます。

その点、転職とは異なるので、たとえば、

  • 収入が下がってしまうのではないか
  • 待遇が悪くなってしまうのではないか

という心理的な負担や、経済的損失がない状態で、他分野での経験、キャリアを詰めます。

 

元の会社ではなかなかできないチャレンジができる

元の会社ではなかなかできない経験やチャレンジができるのも出向の大きな魅力の一つ。

例えば子会社への出向であれば

  • 経営再建の仕事に携わる
  • 若くして経営幹部として経験を積む

といった具合に、大きく成長する機会になります。

 

転籍になり、出向元に戻れないこともある

これは、銀行業界など、特定の業界に限られるかもしれません。

ドラマで描かれるような「片道切符」、つまり、出向したまま戻れないケースもあります。

その場合、元の会社とは雇用契約を解消し、出向先の会社と新たに雇用契約を結ぶ「転籍」という形になります。

給与や待遇が悪くなってしまうこともあるかもしれません。

 

出向先での経験が戻ってから評価されるとは限らない

また、単なる労働力の調整という意図で出向させられた場合、その経験が戻ってから評価されないこともあります。

出向先で得られる経験が全く関係ない業務内容だったりすると、そのリスクがあります。

その結果、元の会社にずっといた社員よりも、出世競争で遅れを取ってしまうかもしれません。

【参考】ポータブルスキルとは?転職先で通用するスキルを手に入れる

 

覚悟を決めて、学ぶ姿勢でいこう

一般的に、出向の辞令が出たら、なかなか拒否するのは難しいもの。

場合によっては、希望しない辞令に、がっかりすることもあるかもしれません。

しかし、だからといって、派遣先で横柄な態度を取ったり、不貞腐れてしまったりすると、事態は更に悪化するかもしれません。

これは、出向させる側にとっても、念頭に置いておくべきリスクです。

出向は、職業人人生における一大イベント。

覚悟を決めて、学ぶ姿勢で向き合っていきましょう。

【参考】リストラの種類や解雇の際に満たさねばならない4つの要件

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