温暖化や気候変動など、人による生産、消費行動が環境に及ぼす影響。
これは、もはや世界各国ですでに無視できないレベルに達しています。
そんな中、一ビジネスパーソンとして、そして消費者にできることは何でしょうか。
ここでは、サーキュラーエコノミーとはそもそも何なのか、その意味を踏まえた上で、国内外の主な取り組みや実現のためにすべきことついて紹介します。
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サーキュラーエコノミーとは?
サーキュラーエコノミー、循環型経済とは、気候変動や海洋汚染などの環境問題に対応するために世界中で注目を集めている概念です。
従来、広く言われていた、「3R」の概念、
- リデュース
- リユース
- リサイクル
に加え、
一つの製品をより長期的に使用することや、何か製品を作る際に新しい原料を使わず、リサイクルした再生利用可能な資源をなるべく用いて、資源を循環させていくことを意味します。
- 廃棄物と汚染を生み出さない設計を行う
- 製品と原料を使い続ける
- 自然システムを再生すること
これらが「サーキュラーエコノミーの3原則」として政府によって定義づけられています。
地球環境保護の意識が世界中で高まっていることはご存知の通り。
一方で、将来見込まれる資源不足に対応するためということもあります。
また、事業の持続可能性の創出するためにも、必要な考え方なのです。
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サーキュラーエコノミーの国内外の主な事例
それでは、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みの事例を見ていきましょう。
ファーストリテイリング
ユニクロやGUなどの複数のアパレルブランドを世界中で展開するファーストリテイリング。
従来より循環型経済の実現に向けた取り組みを行っています。
- 各店舗に専用のボックスを設置し、使われなくなった衣類を回収して新たな製品を生み出すための素材として活用
- 服としてリユースできないものは燃料や防音材に活用
といったことが主な活動内容です。
その他にも回収した衣類を難民に送る支援活動も行っています。
ユニチャーム
生理用品や紙おむつなど衛生用品の大手メーカー、ユニチャームでも独自の取り組みを行っています。
本来なら可燃ゴミとして処理されてしまう使用済み紙おむつを回収し、自社独自の技術を用いて洗浄処理し、おむつの製造に使われるパルプ素材を再資源化しています。
テラサイクル社「Loop」
まずは、米国のソーシャルスタートアップ、テラサイクル社。
世界20ヶ国以上で廃棄物問題に取り組んでいます。
この会社は、全世界で初となる循環型のショッピングプラットフォーム「Loop」を2019年に発表しました。
「捨てる概念を捨てよう」というミッションのもと、従来使い捨てにされていた食品の容器や一般消費財を繰り返し使えるように耐久性の高い素材に変え、それらを提供、回収、洗浄、再提供という形でリユースするシステムを運営しています。
AEROPOWDER社
AEROPOWDER社はイギリス、ロンドンに本社を置くスタートアップ企業。
循環型経済に特化したさまざまな事業を行っています。
その事業の一つとして、断熱材としてこれまで使われていた発泡スチロールに取って代わる、環境配慮型の断熱包装「pluumo」を食用鶏の羽を再利用して開発しました。
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サーキュラーエコノミー実現に向けて
サーキュラーエコノミーの実現には企業はもちろん、個人レベルでも意識を持つことが重要です。
では、どのような意識を持つことが重要なのでしょうか。
1. リユースできる製品を作る
まず、何度でも繰り返し使える製品を作ることが重要と言えます。
これは、各メーカーに求められるミッションの一つとなっていくでしょう。
これまでの大量生産、大量消費という概念を改めなければなりません。
たとえ、その製品が消耗品であったとしても、「廃棄して終了」ではないのです。
ユニチャーム社のように、そこから新たな製品を生み出すための素材として活用するといった仕組みがこれからますます重要視されるでしょう。
2. ものをシェアできる仕組みを作る
次に、最近話題のシェアリングエコノミーもサーキュラーエコノミーを実現する上で欠かせない概念の一つとなります。
消費者一人に対して一つの製品を提供するのではなく、複数の消費者がシェアできるような仕組みがあれば廃棄物も減るでしょう。
3. ものを捨てない、無駄にしない
そして、循環型経済の実現のためには、消費者の努力も欠かせません。
非常にシンプルなことですが、
- 最初から環境配慮型の製品を選んで使用する
- なるべくものを捨てない
- 使っている者を無駄にしない
という心掛けが求められます。
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まとめ
大量生産、大量消費の時代はもう終わりました。
これからは、一つのものを長く使っていく、持続可能性な商品を生み出すことがビジネスに求められることの一つです。
いきなり大きな事業を立ち上げることは難しいかと思いますが、できることからコツコツと始めていきましょう。