ショールーミングとは?価格だけじゃない発生原因とその対策
- 2022/5/6
- 業界・動向
インターネット上で買い物することが、最早常識とも言える時代になりました。
しかし、そのような流れは、店舗を構える事業者にとって大打撃ともなっています。
客数減に悩み、経営不振に陥る事業者も数えきれないほどいることでしょう。
今回は、それを後押ししているショールーミングという現象について、その概要や、発生原因、対策について解説していきます。
【参考】ミステリーショッパーとは?実施のメリットやプロセスを解説
ショールーミングとは?
ショールミングとは、消費者の購買行動の一つです。
何かの商品を購入しようとする際に、まずそれを販売している実店舗に出向き、価格や機能性、質感などを手にとって確かめた上、その場では購入せずインターネットで同じものを購入することです。
逆に、ECサイトで詳細や実際のレビューを確認後、実店舗で商品を購入する行為は、ウェブルーミングと呼びます。
ショールーミングはなぜ問題なのか
実店舗よりもECサイトの方が安く買えるというケースは決して珍しくありません。
そして、同じ商品なら少しでもお得に買いたいと思うのが消費者心理というもの。
しかし、消費者にメリットがあったとしても実店舗を運営する事業者にとっては、顧客と利益を奪われてしまうため死活問題になるのです。
【参考】4P分析とは?楽天モバイルを事例にフレームワークを解説!
ショールーミングの主な発生原因
では、そもそもなぜ、消費者は実店舗ではなくECサイトを利用するのでしょうか。
主な原因についていくつか見ていきましょう。
価格を比較したい
一番の原因は価格を比較したいからと言われます。
特に家電や日用品の場合、実店舗で買うよりもECサイトの方が安いケースがほとんど。
理由は単純で、実店舗の場合は人件費や家賃などの固定費がかかります。
都市部や人が集まる一等地に出店する際には尚更。
「多分、ECサイトの方が安いだろうな」と思いつつ、実店舗を訪れて価格を比較・確認した上で購入を検討するのです。
触って確かめたい
また、実物を触って確かめたいということもあります。
特に靴や洋服などの衣料品を購入する際、多くの人は、実際に試着したり手に取ってみたりしたいと思うもの。
そうでないと、サイズや質感、大きさなど、わからないことがたくさんあるからです。
「ECサイトで購入する」と既に決めていたとしても、それらを確認するために実店舗を訪問し、ショールーミングするのです。
家まで届けてもらいたい
一度にたくさんの商品を買いたい場合、もしくは家電など大きな商品を買いたい場合もあります。
実店舗で購入するとなると荷物が重くなったり、車で出向いたりする必要がでてきます。
また配送してもらおうにも、その手間がかかります。
ECサイトの場合、自宅にいながら、購入から配送の手続きまで済ませられます。
実店舗で購入するよりも、色々と手間がかからないのです。
【参考】えっ、何で?「詰め替え用」がなぜかボトル入りより高い理由
ショールーミングの対策
それでは、実店舗で買ってもらいやすくするため、顧客のショールミングを防止するための対策について見ていきましょう。
Webより安くする
様々な壁があるため実現するのは難しいかもしれません。
しかし、一番の対策はWebより商品価格を安くすることです。
ECサイトの場合は、一定の価格以上の商品を購入しないと送料が上乗せされることもあります。
その点において、勝負する余地はあるでしょう。
また、ネットの方が安いと顧客から指摘された際に積極的に値引してあげる努力も必要かもしれません。
ヨドバシカメラ等の大手の家電量販店等は、既に同様の仕組みを導入しているところもあります。
体験を提供する
価格での勝負が難しい場合には、価格以外でECサイトとの差別化を図ります。
例えば、店舗でしかできない特別な体験を顧客に提供することが挙げられます。
これを実践しているのが、ブランドショップや、大手百貨店。
来店した顧客をVIPのようにもてなし接客して、商品だけではない特別な体験を同時に提供しています。
おまけをつける
商品の販売に、何かプラスアルファを追加することが対策として考えられます。
- ショッピングモールでよく行われている抽選会に参加するためのくじ引き券を配布する
- 書籍やCDのサイン会など何かのイベントを開催する
などが主なアイディアです。
敢えて「買わない店舗」にする
逆に消費者の行動を逆手に取り、敢えてショールーミングに振ってしまうのも、考えられる対策の一つです。
例えば、メガネブランドの「JINS」。
一部の店舗では、フレーム選びと度数の測定、そして特別な技術が搭載された鏡による「似合い度判定」のみを店舗で行い、購入、決済は専用のアプリ上で行われます。
また、家具の「ニトリ」も、一部店舗で、同じような仕組みを導入しています。
このように実店舗とECサイトを上手く組み合わせることによって両者の弱みを補いつつ、顧客の獲得につなげられるのです。
【参考】LP(ランディングページ)とは?概要と作成ツール3つを紹介
まとめ
ショールーミングは、店舗や運営元にとって必ずしも悪影響が出るとは限りません。
オンライン上で複数のチャネルを持っておくことで、消費者の利便性がアップしたり、人件費など経費が浮いたりするメリットもあります。
しかし、実際に商品を手にとって確認できる実店舗の存在は顧客にとって欠かせません。
そこでいかに特別な体験を提供できるかという点に気をつけながら差別化を図っていきましょう。