「今あるオフィスでは手狭になった」
「人が減ってオフィスを持て余すようになった」
「より良い環境で社員を働かせたい」
「会社を成長させたい」
などなど、様々な理由で、会社はオフィスの移転を検討します。
しかし、入念に検討し、準備や対策を行わないと、思わぬ落とし穴が待っているかもしれません。
今回はオフィスの移転に伴いよくある失敗例や、その対策について紹介します。
【参考】オフィス移転の準備は何が必要?手続きや段取りのコツを解説
オフィス移転は会社、社員にとっての重要な分岐点
更なる成長、働きやすさの向上、売上アップなどを見込んで、多くの時間と手間をかけオフィスを移転しても、必ずしも思い通りにいくとは限りません。
逆に、多くのデメリットやリスクを被ってしまうこともあるでしょう。
会社にとってはもちろん、社員にとっても、オフィス移転は一大イベント。
上手くいかないことがあったからといって、簡単にやり直しはできません。
よくある失敗例とその対策については、あらかじめ知っておきたいところです。
オフィス移転時によくある失敗例
それでは、都市部から比較的物価の安い郊外に移転した場合を想定し、よくある失敗例についていくつか見ていきましょう。
①人が採用できなくなった、応募してこなくなった
都市部のイケてるオフィスには、人を惹きつける効果があります。
アクセスの良さだけではありません。カッコイイオフィスで働きたいと、多くの人が思うものです。
それを見落とし、郊外のオフィスに移転した途端、人が集まらなくなってしまうという失敗パターンが挙げられます。
家賃や設備費が多少割高であったとしても、社員にとって働きやすい設備が整っていたりオシャレなデザインであったりすると、多少給料が安かったりしても、若くて優秀な社員が多く応募してきたりします。
しかし、郊外の味気の無いオフィスに移転した途端、待遇を上げても応募がなかなか集まらなかったり採用に苦労したりするということは珍しくありません。
家賃が安いからといって郊外に移転した途端、採用費がかさむようになった、となってしまうと、本末転倒と言えるでしょう。
②退屈で刺激がなくなった
都市部では、新しいサービスを展開する店や、独特なキャッチコピーを掲げている商品やサービスなどがそこらじゅうに溢れています。
少し外を歩くだけでもそれらが視界に入るため、働き手にとっては良い刺激となり、それが仕事にもつながります。
もちろん、郊外には郊外ならではの魅力もあるでしょう。
しかし、オフィスの周辺環境に活気がないと刺激もなくなり、斬新なアイディアが生まれなくなったり、モチベーションが無くなったりするリスクもあります。
③交通費が上がり、大してコスト削減にならなかった
郊外に移転すれば、家賃や固定費、その他コストも割安になるため、コストカットに繋がると思われがちです。
しかし、必ずしもそうとは限りません。
たとえ固定費が下がったとしても、アクセスが悪い、交通機関が充実していないといった場合には、社員の通勤費や、営業時の移動費などが割高になり、他のコストが増えてしまうこともあります。
もちろん、一概には言えないところでもあるため、オフィス移転時には全体的なコストの増減について事前に慎重な見積もりをした上で検討しましょう。
④移転によって経営不振に陥ることも
郊外のオフィスだからといって必ずしも固定費が割安になるとは限らず、内装などに拘りすぎてしまうと固定費が大幅に上がってしまうことがあります。
ある程度の売上を維持できているなら問題ありません。
しかし、想定外に売上が落ちてしまった場合、固定費は経営において大きな負担となり、資金繰りができなくなってそのまま倒産、となってしまうケースも決して珍しくありません。
固定費を上げるのであれば、安定的な売上を確保した上で検討する必要があります。
失敗のリスクを減らすための対策
それでは、以上で挙げたような失敗に陥らないために移転前に実施するべき対策についていくつか見ていきましょう。
①新オフィスの周辺環境や立地について入念な事前調査をする
移転予定地の周辺環境や立地について入念なリサーチを行う必要があります。
Google Mapsなどの便利なツールもありますが、ネットの情報だけではなく、実際にその場所に赴いて事前調査することが重要。
アクセスのしやすさや利便性、周辺の店舗や競合について、より信憑性のある情報を得られ、対策も立てやすくなります。
立地調査については十分な時間と手間をかけて行いましょう。
②移転費用の見積もりを複数業者から取り検討する
オフィス移転で失敗しないためには、どの業者に依頼するかという点も非常に重要です。
不用品を処分してもらう廃品回収業者や、荷物を輸送してもらう運送業者、また、レイアウトやインフラ設備の整備をしてもらう工事業者など、大抵は業者に依頼することになります。
安ければ良いわけではなく、サービス内容やサービスの質を見極めるため複数者見積もりを取った上で検討しましょう。
③移転費用の抑制に加え、波及効果も検討する
オフィス移転には多くの手間とコストがかかり、それが経営にも影響してしまうことがあります。
そのような事態を避けるためにも、移転費用をなるべく抑えられるよう努力することも大切です。
たとえば、OA機器やデスク、棚などのオフィス家具を全て買い換えるのではなく、まだ使えるものは再利用するなど心がけましょう。
そして、単に移転の費用だけでなく、派生して生じるコストやデメリットについても十分に考えておく必要があります。
人は採れるのか、思わぬコストが上昇しないか、慎重に検討しておく必要があります。
特に、旅費交通費等の移動に関する費用、採用に関する費用、あたりが要注意です。
④オフィス移転の専門家にアドバイスを求める
特に初めてオフィス移転をするのであれば、何かと不安があるのは当然です。
素人だけでは判断できないこともあるでしょう。
その際にはオフィス移転の専門家やコンサルティング会社にアドバイスを求めるのも一考です。
まとめ
会社の規模や移転先の距離が大きいと、それだけ要する手間やコスト、また失敗した際のリスクも高くなります。
会社、社員にとって、オフィス移転は重要な分岐点であることから、拙速に進めるのではなく、時間に余裕を持って必要な手順を一つ一つ踏んで慎重に進めていきましょう。