無人店舗が当然の時代到来?メリットや課題を事例と共に解説

様々なものが自動化、無人化されていく時代。

店舗運営も、これからは人に頼る部分が減り、最新の技術、システムによる自動化や無人化が進むと見込まれています。

ここでは、新しい店舗の在り方として期待される無人店舗について、概要や事例を踏まえた上でそのメリットや課題について解説していきます。

【参考】移動販売は店舗不要で低リスク?その魅力と必要な準備や許可

無人店舗

 

無人店舗とは?

無人店舗とは、物品やサービスを無人で販売・提供する店舗、テナント等を指し、主にコンビニエンスストアやスーパーマーケットなど、小売業界で注目を集めている比較的新しい店舗様式です。

これといった明確な定義はなく、完全に無人化を実現しているケースから、品出しなど一部の業務を人力で担っているケースなど、さまざまなスタイルがあります。

基本的な仕組みとしては、事前登録制であることが一般的で、専用のアプリや店内の機械を使って欲しい商品の情報を利用者自身でシステムに読み込ませ、キャッシュレス決済などを通じて支払いを完了するといったものです。

コンビニエンスストアやスーパーが多いものの、書店やフィットネス、アパレルショップなど、無人店舗を導入する業種は着実に増えてきています。

 

事例:トライアルQuick大野城店

福岡を中心に多くの店舗を構えるディスカウントショップ大手のトライアルカンパニーが運営する「トライアルQuick大野城店」では、夜間の22時から5時における店舗の完全無人化を実現しました。

カートにレジ機能が搭載されており、手に取った商品を自ら読み込んで専用のゲートを通ることで決済完了となります。

予め専用のプリペイドカードにチャージする必要がありますが、国内で最も先進的な無人店舗となっています。

トライアルクイック大野城店

 

今時書店

今時書店は新潟市内に店舗を構える会員制の書店です。

「人目を気にせず、時間を忘れてゆっくりすることに特化した古本屋」をコンセプトの元、選書家と呼ばれる本のスペシャリストらが選んだおすすめの本が棚ごとに並べられており、そこでしか出会えない書物もあるようです。

会員登録後、会員それぞれにパスコードが配布され、それを用いて入店することになります。

今時書店

 

アパレルショップ「STAMP」

アパレルショップ「STAMP」はアパレルメーカー大手のFABRIC TOKYOが企画した体験型無人店舗です。

3Dスキャンが搭載された個室に入ることで、セルフで採寸から注文、受け取りまでできる仕組みになっています。

stamp

【参考】デリバリー今からでも始めるべき?メリットデメリットを解説

 

無人店舗で開業するメリット

それでは、無人店舗で開業するメリットについていくつか見ていきましょう。

 

①人件費の削減、労働力不足の解消ができる

まず、なんと言っても、人件費の削減や労働力不足の解消が見込めるのが無人店舗の最大の魅力です。

今まで人力で行っていた業務を機械や最新の技術に任せることによって、無駄な人件費が減り、同時に仕事の精密さや正確さも向上できます

また、無人化で捻出できた時間や労働力をサービスの開発や品質向上など別の業務に充てることもできるでしょう。

 

②自動で顧客の購買データの収集、分析ができる

店舗を無人化し、カメラやスマートレジ、その他最新の技術を搭載すれば、顧客に関するデータ収集や分析もしやすくなります。

事例で挙げたトライアルでは、店舗内に数百個ものカメラが設置されており、それによって在庫の減り具合や売れ筋商品の分析を自動で行っています。

そのような分析の結果を参考にすれば、どんな商品やサービスが求められているのかより判断しやすくなるでしょう。

【参考】暖簾分けとは?直営や子会社、フランチャイズとの違いを解説

 

無人店舗の現状の課題

上では良い点について述べましたが、全国的な普及には至っておらず、まだまだ以下のような課題が残されているのが現状です。

 

①各種技術の導入コストがかかる

全国的な店舗展開が難しい理由の一つは、高額な導入コストです。

無人化するためには、専用のセキュリティ体制を構築した上で、カメラや専用レジ、その他多くの技術を導入する必要があり、莫大なコストがかかることもめずらしくありません。

費用をかけて始めたはいいものの、採算が取れず結果廃業してしまったという例もいくつかあります。

中長期的には、徐々に導入コストも下がってくるでしょう。

しかし、広く普及するに至るまでには、まだしばらく時間がかかるかもしれません。

 

②現状の技術では業種によっては完全無人化ができない

そもそも、無人化に適していない業種もあり、また、業務が限られてしまうこともあります。

たとえば、コンビニやスーパーなどで酒やタバコ類を販売する際には必ず店員による年齢確認が必要となるため、無人店舗の場合はそれらの商品を扱うことはできません

 

③事前登録を要する場合、使い勝手が悪くなることも

無人店舗のほとんどは、利用する際に事前登録や認証を必要とすることから、一般的な店舗よりも使い勝手が悪くなることがあります

日常的に使っている人や、近くに住んでいる人であれば事前登録してくれるかもしれませんが、遠方から来てたまたま近くに来た人、1度きりしかその店舗を利用しないであろう人にとっては、不便かもしれません

ある程度の認知度があり、チェーン店が複数ある場合にはそれほど問題ありませんが、個人のブランドを立ち上げる際には気軽に店舗を利用すること自体が難しくなるしょう。

【参考】居抜きとスケルトン物件のメリットとデメリットを並べて比較

 

まとめ

出店しても採算を取れる地域が限られている、導入コストがかかりすぎる、また、店舗を管理する側に知識の豊富な人材が少ないといった課題が現状あります。

そのため、本格的な普及にはまだまだ時間を要することになるかもしれません。

しかし、人不足は今後もしばらく続くと言われ、また、技術の発展に伴って無人店舗の需要も今後増えてくると思われるため、可能性がある業種での開業や出店を考えているのであれば、一つの選択肢として無人店舗について研究する価値はあるかもしれませんね。

【参考】無人販売とは?ブーム化する不労所得ビジネスの光と影を解説

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