働く人に降り掛かるあらゆる問題の裏には、少なからずストレスが関係しています。
避けられないストレスと、上手く付き合っていく。
これは今の社会を生き抜く上で求められるスキルの一つとも言えます。
ここでは、ビジネスシーンにおいてなぜストレスを感じるのか、その原因を明確にした上で、主なストレスマネジメントの方法を紹介します。
【参考】感情労働とは?放置するとヤバい!問題と求められるケア
ストレスマネジメントとは?
ストレスマネジメントとは、あらゆることに起因して発生するストレスを、
- 避ける
- 感じないようにする
- 解消したりなだめたりする
といったことを通じて、上手に付き合っていくマネジメントスキルのことです。
そもそもストレスとは
ストレスは、職種、年齢、性別、社会的地位に関係ありません。
人間なら誰もが少なからず抱えているとされる、心理的な負担や圧力です。
しかし、働く人がストレスと上手く付き合うことができないと、様々な問題が生じます。
たとえば、
- やる気が出なくなる
- 仕事の生産性が落ちる
- 気怠さや鬱など、ネガティブな状態に陥る
- 仕事や会社を辞めてしまう
などが挙げられます。
また、許容範囲をオーバーしたストレス過多の状態が続くと、鬱や不眠などの健康被害も出て来ます。
ストレスを原因とした心身の不調は、少なくありません。
このように、ストレスは職場でのパフォーマンスだけでなく、私生活、人生そのものに大きな影響を与えます。
よって、
- いかにして減らせるか
- 上手く向き合えるか
が重要になります。
そして、そのためのストレスマネジメントが、スキルとして求められているのです。
職場での主なストレスの原因とは?
ビジネスシーンで、人はなぜストレスを抱えてしまうのでしょうか。
まずは、その主な原因について考えていきましょう。
1. 人間関係
最も大きな原因は、職場での人間関係に起因するストレスです。
たとえば、
- 上司によるパワハラ、モラハラ、セクハラなど嫌がらせ行為を日頃から受けている
- いじめや性格の不一致で同僚との関係が上手く行っていない
ということが考えられます。
また、上の立場にいる人も例外ではありません。
- 部下が言うことを聞かない
- 思い通りに動かない
- どのように指示したら良いのか分からない
といった不安もストレスにつながります。
2. 業務内容
人間関係に問題がなくとも、業務内容や自分が置かれている環境がストレスの原因になることもあります。
たとえば、
今の仕事が自分の求めているものではない
仕事にやりがいを感じない
など、仕事と自分との適性に関することや、
- 業務時間が長過ぎる
- 仕事に対して給与が安すぎる
など、処遇に関することも含まれます。
3. 自身の能力
その他にも、自分が自分に対して、無意識に圧力、精神的不安を抱かせていることも考えられます。
- 仕事ができず周りに迷惑ばかりかけている
- 周りが優秀すぎてついていけない
- 周囲の期待通りの成果を残せていない
など、自分に厳しすぎることもあるでしょう。
【参考】長時間労働の定義や法的な規定は?放置するとリスクや弊害も
ストレスマネジメントの主な方法
それでは、具体的に、どのようにストレスに対処していけば良いのでしょうか。
ストレスマネジメントの主な方法について見ていきましょう。
1. セルフケア
セルフケアとは、自分自身の異変を察知し、ストレスをコントロールすることです。
具体的な方法としては、
- 心理面、身体面、行動面の変化を自己分析する
- 異変がある場合には上司や産業医などに相談する
といったことが挙げられます。
たとえば、
- 気分が落ち込む
- やる気が出ない
- 最近寝つきが悪い
- 夜中に目が覚める
- 肩こりや頭痛がする
- 飲酒や喫煙の量が増加している
- ミス、ヒヤリハットの増加している
などが「異変」に該当する内容です。
2. 仕組みによるケア
もちろん、セルフケアだけでは対処しきれない問題もあるでしょう。
異変を感じている社員を早期に見つけて支援する、仕組みによるケアも大切です。
とは言っても、ストレスとなる原因も症状も、人によってそれぞれ異なるもの。
見極めることが難しい場合もあるでしょう。
そのため、定期的にOne on Oneミーティングを実施し、
- 日頃から部下と積極的にコミュニケーションをとって異変を察知するようにする
- 上司には、ストレスの兆候を把握できるようにするためのトレーニングを施す
といったことも有効です。
また、社内で一斉にストレスチェックテストを実施するということもあります。
そして、社内全体に共通する問題を洗い出し、職場環境改善のための適切な対策を講じることも有意義でしょう。
3. 専門家によるケア、サポート
既にストレス過多に陥っている場合、もしくは、既に心身に不調が生じている場合、周囲の人間だけでは対処できないこともあるでしょう。
そのような時は、保健師や産業医、カウンセラーなど専門家によるケアやサポートが必要。
必要な時に必要なケアやサポートが受けられるよう、
といった対策も、ぜひとも備えておきたいところです。
【参考】ツァイガルニク効果とは?忙しい社会人は要注意の心理効果
ストレスマネジメントを上手に
ストレスを抱えること自体はごく自然な現象。
それ自体は、決して悪いことではありません。
問題は、許容できる量を超えて、心身、健康に影響が出るまで放置することです。
自分のストレスと上手く向き合い、減らしていくためには、自分自身の努力はもちろんのこと、上司、企業、専門家のサポートらと連携し、なるべく早い段階で必要な対処ができるようそのための仕組みを作っていきましょう。