各業界において、従来よりも「社員ファースト」「従業員重視」の経営が進んでいます。
しかし、一方で、それを逆手に取った「モンスター社員」なる存在も登場するように。
組織行動を阻害するモンスター社員は、経営者や管理職にとって悩みの種。
日本の雇用慣行に照らすと、簡単にクビにするというわけにもいかないのです。
今回は、モンスター社員の意味を踏まえた上で主な種類や特徴、企業が講じるべき対処法を紹介します。
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モンスター社員とは
モンスター社員とは、職場において、社会人として相応しくない言動や行動を取り、社内風紀を乱したり、同僚や上司に迷惑をかけたりする社員を指します。
思い通りに行かないことがあれば難癖つけて不当な要求をしたり、会社を相手取り訴訟を起こしたりするケースも少なくありません。
以前ブームになった、「モンスターペアレンツ」という言葉の派生とも言える言葉です。
モンスター社員はなぜ生まれるのか
元々、そのような特性を持ち合わせていたが、それを面接で見抜けなかっただけ、というケースもあるでしょう。
しかし、外的要因によって入社後に社員がモンスター化してしまうこともあるようです。
というのも、
- 社員が、「会社で働いてあげている」と錯覚してしまう
- 劣悪な職場環境によって精神を病んでしまう
- デジタル化によって対面コミュニケーションが減り、適切な振る舞い方が分からなくなる
といったこともあるからです。
また、
- 周囲から過度な期待や成果を求められた
- 昇進、昇格などの競争に追い込まれた
等、プレッシャーから自分を守るための心理的な防御反応として、モンスター化、凶暴化してしまうこともあるのです。
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モンスター社員の主な種類と特徴
一言にモンスター社員といってもそれぞれ性質は異なります。
大きくは、以下の4種類に分類されるようです。
1、アタッカー型
主に言葉の暴力で相手を威圧したり、攻撃したりするタイプです。
攻撃的であるがゆえ、「アタッカー型」「他者攻撃型」と呼ばれます。
このタイプは、自分よりも地位や年齢が低い者をターゲットにして攻撃するのが特徴。
これによって、自身のストレス解消や鬱憤晴らしをするのです。
パワハラやモラハラに該当しそうな行為も含まれるのがアタッカー型の特徴です。
2、親依存型
比較的新しいタイプのクレーマー社員です。
これは、文字通り、会社に対する不満や要望を自分自身で伝えて来るのではありません。
何でも、「親」を通して主張してきます。
- 会社での待遇が悪い
- 嫌いな上司がいる
- 仕事が辛い
といったことを逐一親に報告します。
自分に代わって会社に文句を言うように頼んだり、欠勤などの連絡も何でも親任せ。
このような社員は大抵実家暮らし、との報告もあります。
3、ヒステリック型
ヒステリック型とは、仕事で失敗したり物事が思い通りに行かなかった際、過度に不安な状態に陥り、その結果、声を荒げたり、モノに当たったりして、感情的になるタイプを指します。
分かり易く、一時的であるため、他のタイプよりは比較的マシかもしれません。
しかし、感情の起伏が激しくなると、攻撃に転じてくる場合もあるため注意が必要です。
4、自己中心型
自己中心型とは、職場において、自分自身を絶対的な存在とみなし、自分の意見が正しいと言い張り、意見を無理にでも押し通そうとしたり、気に食わないことがあるとなんでも反発したりするタイプです。
結果的に自分の意見が通らなかったりすると、拗ねてしまうのも特徴。
自分の考えが結果的に間違っていたと分かっても、他人のせいにして堂々と開き直ります。
これは、ある程度の役職についた年配社員に多い傾向があるとされます。
その部下や、若手社員にとっては非常に厄介な存在と言えるかもしれません。
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モンスター社員への対処法
それでは、すぐにでも講じるべきモンスター社員への対処法について見ていきましょう。
面接でモンスターの要素を見抜く
何よりも大事なことは、モンスター社員としての素質がある者を入社させないことです。
そのためにも、採用担当者は面接の際にそれをしっかりと見極める必要があります。
たとえば、
- 自分の利益や待遇のことをやたらと気にしている
- 短期間で複数回転職を繰り返している
- 前職の退職理由が曖昧である
と言った場合は要注意です。
しかし、これを見抜くのがなかなか難しいところでもあるのですが。
必要に応じて就業規則や評価体制を見直す
入社してしばらく普通だった社員が突然モンスター化してしまった場合はどうするか。
その場合は、企業にもいくらか責任があると言えるかもしれません。
なぜモンスター化してしまったのか、について、原因を探ってみましょう。
職場環境や人間関係、待遇等についてヒアリング等を行い、職場環境改善の努力もしましょう。
公平性を重んじ毅然とした態度で接する
明らかにモンスター社員としての傾向が見られる場合、無闇に刺激したり、からかったりしたりするのはNG。
一方で、特別扱いしたり、甘やかしたりすると、他の社員からの不満にも繋がりかねません。
どのような場合でも、公平性を重んじ、毅然とした態度で接する必要があります。
注意する側も含め、お互いが冷静になった段階で適切な指導をしましょう。
改善が見られない場合には罰則を与える、退職を促す
いくら指導したとしても全く改善が見られない場合には、罰則や退職を促すことも大切です。
曖昧な指導や忠告だけで放置してしまうと、他の社員に悪影響が及ぶ危険性もあるためです。
応じない場合には法的措置を取ることも視野に入れておきましょう。
どのような状況にあるかについては、事前に弁護士にも相談をしておくことも重要です。
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まとめ
モンスター社員を放置したままにすると、何より他の社員に迷惑がかかります。
職場の就労環境が悪化するだけでなく、会社としても大きな損害となりかねません。
一方で、モンスター化してしまう要因は個人の性質だけではなく、会社側にもその責任の一端がある可能性もあります。
場合によっては、冷静に自社のあり方について見直してみることも重要かもしれません。