最近よく耳にするようになった「パラレルキャリア」という言葉。
パラレル(Parallel)は、並行 という意味で、同時で二つの物を進める文脈で使われます。
今回は、パラレルキャリアの意味や、副業との違いも踏まえながら、企業、従業員双方にとってのメリット、デメリットについて解説していきます。
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パラレルキャリアとは?
パラレルキャリアとは、1つのキャリア(職業)に拘らず、2つ、もしくはそれ以上のキャリアを同時進行で持ちながら働くことです。
マネジメントの生みの親であり、経営学者であるピーター・ドラッカー氏によると、「本業を持ちながら、第二のキャリアを築くこと」であると定義されています。
副業が営利目的、新たな収入源の確保を目的としているのに対し、パラレルキャリアは必ずしも営利だけが目的とは限りません。
趣味や社会貢献活動の延長線上にある活動も含まれるのです。
また、「副業」ではなく、「複業」と呼ばれることもあります。
パラレルキャリアを実現している著名人
パラレルキャリアを実現している著名人も少なからずいます。
まず、プロサッカー選手の本田圭佑氏が挙げられるでしょう。
彼は、自らのスポーツ選手としてのキャリアの他に、
- スポーツ施設の運営事業
- アスリートのセカンドキャリア支援事業
- クラブチームの監督
などこれまでのキャリアを活かして、幅広い分野で活躍し続けています。
他にも、芸能活動をしながら自らのファッションブランドを立ち上げたり、飲食店やサロンの事業を開始する芸能人をご存知の方も多いでしょう。
パラレルキャリアが注目される背景とは
近年、パラレルキャリアが世間の注目を集めている理由として、働き方やライフスタイルの変化、多様化が挙げられるでしょう。
一昔前までは、一つの企業で定年まで働く終身雇用が一般的でした。
そして、仕事の範囲も今と比べれば限定的なものだったようです。
しかし、ご存知の通り、最近では社会全体でそのような考え方が見直されはじめています。
また、Z世代と呼ばれる新しい世代の台頭により、そのような多様な働き方が徐々にスタンダードになってきているのです。
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パラレルキャリアのメリット
まず、従業員にとってのパラレルキャリアのメリットについて見ていきましょう。
新しい体験を通して知識やスキルを磨ける
本業以外の場所で新しい体験をすれば、異なる分野での知識やスキルが身に付きます。
その結果、今まで気付けなかった自分の特技や才覚の発見にもつながるかもしれません。
そして、型にはまらないキャリアの実現へと、可能性が広がります。
起業や副業に必要な見聞が身に付く、人脈が作れる
また、パラレルキャリアとして幅広い活動をすることで、将来、起業や副業を始める際に必要なスキルや見聞も身につけられます。
社外での活動を通じ、異なる分野で活躍している人と関係を築くこともできます。
異分野の人との信頼関係は、起業の際にプラスに働く可能性が大きいものです。
結果的に収入がアップする
社会貢献活動や慈善活動など、最初は営利目的のつもりではなかったとしても、活動の幅が広がり、ある程度の知名度を獲得できれば、別件の仕事のオファーなどが舞い込む可能性があります。
そうすることで、結果的に収入アップに繋がることも期待できます。
それでは企業側のメリットについても見ていきましょう。
従業員が外で身につけたスキル等を自社の事業に活かせる
社員が外で身に付けたスキルや知識を自社で活かせるような仕組みを作れば、企業もその恩恵を受けられます。
どの会社でも、他社がどのような仕事をしているかはなかなか知り得ないもの。
しかし、パラレルキャリアで働く者は、それを身をもって体感してくることになります。
その結果、自社の良い点、悪い点を客観的に見直すことができ、上手く取り入れることが出来れば、仕事の質や生産性がアップするだけでなく、同時にマネジメント能力やプロ意識の高い優秀な人材の獲得にも繋げられるかもしれません。
従業員が他に稼ぎ口を見つけてくれる
企業にとって、従業員の生活を支えていかねばならないというのは、重荷でもあります。
「従業員はちゃんと生活できているか?」
「住宅ローンが払えなくなったり、借金したりしていないか?」
何も言わなくても、経営者は常にこのようなことを気にしているものです。
しかし、従業員が他のところでもお金を得ているということであれば、いくらか負担感は和らぎます。
自社の事業に集中して欲しいとは当然思っているものの、いくらか肩の荷を下ろすこともできます。
リストラ等の厳しい決断を下さねばならない事態も、回避できるかもしれません。
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パラレルキャリアのデメリット
一方で、本業以外の活動が増えることで、以下のようなデメリットが生じることもあります。
まずは従業員側のデメリットです。
社内で大きな仕事を任される機会が減る
社外での活動が増えると、社内でフルコミットする、チャレンジしがいのある大きな仕事は任されにくくなります。
「中途半端になるのではないか」
「途中で投げ出してしまうのではないか」
という雇い主側からの懸念ゆえ、そのような事態に陥ってしまうのです。
そして、自己完結型の仕事しか任されなくなり、社内でのキャリアアップに支障が出る可能性も出て来るでしょう。
それでは、企業側のデメリットについてもみていきましょう。
人材が流出してしまうことも
従業員が、本業よりも社外での事業に大きな魅力ややりがいを感じてしまうことがあります。
そして、そのまま起業されたり、他社に転職されたりして、人材が流出してしまうリスクがあります。
とはいえ、社外での活動に厳しい制限をかけてしまうと、それはそれで会社に対する不満要因にもなりかねません。
結果として離職の原因につながることも念頭に置いておかねばなりません。
まとめ
パラレルキャリアを実現することで、本業だけでは知り得なかった発見や気づきが得られます。
その結果、自分のキャリア形成が大きく飛躍することもあるでしょう。
しかし、会社の就業規則に違反したり、私生活に支障が出たりしては意味がありません。
本業のキャリアアップに支障が出てしまうのも、本末転倒と思うかもしれません。
デメリットに十分留意しながら、新しいことに挑戦し続けたいものですね。