社内フリーランスとは?人と企業の関係は益々ドライになる?

最近耳にしたという人も少なくないであろう、「社内フリーランス」という言葉。

近年、ビジネス界隈では、何でもアウトソーシングするのが流行っているようです。

そして、それに伴い、フリーランスとして働く人も増えてきています。

これは、働く人側の「企業にあれこれ縛られたくない」という気持ちが背景にあります。

また、企業側の「なるべく正社員を抱えたくない」という思惑も影響しています。

それもあって、最近では「社内フリーランス」制度なるものも出てきているようです。

今回は、企業と社員の新しい関係として注目を集めている社内フリーランス制度について、その概要を踏まえ、企業、働き手双方にとってのメリット、デメリットについて解説していきます。

【参考】下請法とは?フリーランスが最低限知っておくべき法律の基礎

 

社内フリーランス

 

社内フリーランスとは?

社内フリーランスとは、従業員が正社員としての雇用契約を解消した上でフリーランスとなり、新たに業務委託契約を結び、お互い対等な立場として働く制度です。

社員のようでありながら、「企業と社員」という関係ではなく、「企業と個人事業主」という関係で仕事の受発注を行います。

一応、「社内」とつくことから、「社内で仕事をする」というのが前提ではあります。

 

社内フリーランス制度のこれから

社内フリーランスが注目される背景には、働き方の多様化や雇用の柔軟性の確保が求められる社会動向があります。

働き手にとっての自由で多様な働き方と、ワークライフバランスの充実。

様々なニーズに応える制度として期待されています。

しかし、徐々に広がりつつあるとはいえ、まだまだ十分な普及には至っていないのが現状。

実際に導入しているのは、電通やタニタなど、特に大手では一部の企業に限られています。

【参考】副業解禁すべき?政府も勧める施策のメリット、リスクと対策

 

企業にとってのメリット、デメリット

まずは、企業側から見た社内フリーランス制度のメリットについて見ていきましょう。

 

コストを削減できる可能性がある

まず、会社として負担する社会保険の会社負担分を払う必要がなくなります。

任せたい仕事がない時期に人件費を払う必要もありません。

よって、人件費は下がる傾向にあると言えるでしょう。

また、社内フリーランスの生活を支えなければならないという義務もありません。

収入が足りないようなら、他で働いてもらえばよいのですから、心配無用となります。

 

社内業務の高度化、人員の最適化を図れる

社内フリーランス制度を導入することで、仕事にかかる時間や人員の数よりも、その質や成果にこだわることができるようになります。

働く側も、自分が守られていないことを理解しているので、成果を出そうと必死になります。

そのため、社内業務の高度化や、人員配置の最適化にも繋がるでしょう。

給料だけもらってダラダラ働いていたり、十分な成果を出していなかったお荷物的な社員を淘汰できます。

企業にとっては非常に魅力的な制度と言えるかもしれません。

 

それでは、デメリットについても見ていきましょう。

 

契約の手続きや委託の手間が増える

契約の手続きや仕事を発注する手間が増えるという難点もあります。

まず、現状の雇用契約を解消し、新たに業務委託契約を結ぶところから始める必要があります。

それには、社員の同意が必要となり、必ずしも応じてもらえるとも限りません。

契約が成立しても、原則として案件ごとに単価を決め逐一発注する必要があります。

そのため、管理業務が増えてしまうという側面は否めません。

 

人材の流出につながることも

また、優秀な人材は、社外でも引く手数多というのもまた事実。

優秀である程、複数の会社の業務を請けてリスクヘッジを図ろうとするでしょう。

そして、自社の仕事にフルコミットしてくれる保証もなくなってしまいます。

成果に対して、報酬がある、という、極めてドライな関係になってしまいます。

場合によっては、他社がより魅力的なオファーを提示した場合、他社の仕事をメインにされてしまうリスクもあります。

極めつけには、関係が悪化したりすると、社内フリーランス側から見切りをつけられてしまうこともあります。

【参考】副業者、フリーランス必見!青色申告と白色申告の違いまとめ

 

働き手にとってのメリット、デメリット

それでは、社内フリーランスとして働く人側のメリットについて見ていきましょう。

 

実力や頑張り次第で収入が増える

大きな魅力としてまず挙げられるのが、実力が頑張り次第で収入が増えることです。

もちろん、正社員のままでも収入が増える可能性は十分にあります。

しかし、多くの年数を費やす必要があったり、時には正当に評価されず不満を感じたりすることもあるでしょう。

その点、成果重視のフリーランスとして働けば、頑張りや実力がそのまま収入として反映されます。

短時間で効率よく成果を出せば、他の新たな仕事に時間を振り向けられます。

評価に不満があれば、自分を評価してくれるところを自由に探して契約を結ぶことだってできるのです。

 

新しい可能性にチャレンジできる

フリーランスへの転身を機に、これまでとは全く違う分野や興味のあった分野にチャレンジできます。

会社から与えられた業務に自分の全ての時間を投入し、フルコミットする必要はないのです。

そうすることで、今までは考えられなかった新たな可能性が見出せることがあります。

時間やルールに縛られない、自由な働き方も実現できるでしょう。

 

一方、デメリットについてもみていきましょう。

 

残業手当や労災など各手当や社会保障の対象から外れる

フリーランスになることで、その企業の社員ではなくなります。

そのため、残業手当や労災、福利厚生、各種手当といった社会保障の対象からは外れることになります。

収支管理や確定申告といった手続きも全て個人で行う必要が出てきます。

これまでは会社がやってくれていた雑務も、自分でやらねばならなくなります。

雑務に、プライベートな時間を侵食されるリスクだってあるのです。

 

失業した時のリスクが高まる

社内フリーランスは、労働基準法の対象外となります。

よって、雇用保険が適用されないので、失業保険は受けられません。

また、退職金も貰えません。

急に契約終了を告げられたり、任される案件がなく、収入が減る可能性だってあります。

【参考】フリーランスのトラブル予防策は?事前に備えておくべきこと

 

社内フリーランスを上手に活用しよう

社内フリーランスは、企業の無駄の削減、業務の高度化、人材の最適化のための施策として機能するだけではありません。

働き手にもライフスタイルにあった働き方の実現やキャリア形成にも役立つなど、双方にメリットがあります。

しかし、関係はよりドライになり、双方にリスクもあります。

導入、利用する際にはメリット、デメリットをしっかりと認識した上で慎重に検討しましょう。

【参考】フリーランスの悩み相談サービス6選!トラブル解決のために

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