年俸制とは?月給制との違いや導入するメリット・デメリット

年棒制と聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、野球選手でしょうか。

ビジネスの世界でも、年俸制という言葉を、頻繁に耳にするようになってきました。

つまり、以前は珍しかったということです。

実はこの制度、外資系企業で多く取り入れられきた制度。

これからの時代、ベンチャー企業などでも普及が進んでいくとみられています。

ここでは、月給制との違いを踏まえた上で、年俸制を導入するメリット、デメリットについて解説します。

【参考】ストックオプション制度とは?導入のメリット5つと注意点2つ

年俸制

 

年俸制とは?

年俸制とは、給与を1年単位で算出する給与体系のことです。

1年に1度しか給与が支払われない、というわけではありません。

給与は、一定のルールに基づいて、1ヶ月単位に分割して支払われます。

年俸制=野球選手やサッカー選手などプロスポーツ選手のもの、というイメージが強いかもしれません。

しかし、外資系企業を始めとした一部のベンチャー企業でも、すでに採用しているところがあります。

とは言え、その企業に勤める社員全員に適用されることは、レアケースだったりもします。

通常は、職種や役職単位で適用されるケースがほとんどでしょう。

  • 主に役員や管理職など高い地位にある者
  • システムエンジニアややプログラマーなど専門性の高い職種
  • コンサルティング会社や金融機関のプロフェッショナル

といったところでは、広く普及していたりします。

高度プロフェッショナル制度」が働き方改革の一環として始まりましたが、その対象者との相性が良いとされます。

よって、これからますます増えていくだろう、と予想されています。

 

年俸制と月給制との違い

いずれも、1ヶ月ごとに給与が支払われるという点で共通しています。

しかし、年俸制は事前に1年間の総収入を把握できるのに対し、月給制はそれができません。

というのも、月給制の場合は以下のような理由で金額が替わり得るからです。

  • 企業の経営状況によってその金額が変動することがある
  • 業績不振の場合にはボーナスの額が減らされることもある

また、月給制は勤続年数に応じてその支給額が徐々に増えていくケースも多いもの。

そのため、比較的長期の雇用を目的としたメンバーシップ型採用との相性が良いのです。

対して、年俸制は個人のスキルや能力など、ジョブ型採用との相性が良いでしょう。

【参考】みなし残業=ブラック?導入している企業に応募の際の注意点

 

年俸制を導入するメリット、デメリット

それでは、まず、企業が年俸制を導入するメリットについて見ていきましょう。

 

経営計画を立てやすくなる

年間に支払う給与の総額が事前に確定されているのは社員にとっても、それを支払う企業にとっても好都合。

というのも、経費の一つである人件費の総額が事前に確定するため、経営計画を立てやすくなるためです。

わざと残業をして、給料を増やすような方法ができないため、人件費が急に増えることがないのです。

そのため、数字にブレがなくなりやすいというのが大きいと言えます。

 

成果主義と合わせて導入しやすくなる

近年、年功序列や終身雇用といった日本企業の慣習が見直されつつあります。

単に、勤続年数の多さではなく、仕事での結果を重視する成果主義が新しいスタンダードとして認識されつつあります。

成果主義を導入する際、従来の月給制よりも年俸制の方が何かと相性が良く、仕組みを作りやすいことから、併せて導入しやすくなります。

 

社員が大きな金額を貰っているような気分になれる

例えば、14ヶ月分割で2ヶ月分は賞与見合いの場合、

  • 「月額30万円、賞与2ヶ月」
  • 「年俸420万円」

上記の意味は同じです。

しかし、社員は、後者の方が大きな金額を貰っているような気分になれます。

そのため、払う金額は同じでも年俸として提示することで社員の満足度ややる気に良い影響を与えられます。

 

それでは、デメリットについても見ていきましょう。

 

期待外れだった時に年俸を途中で変更できない

年俸制で中途採用する場合、能力やスキルを考慮し、

  • 「これくらいの成果を収めてくれるだろう」
  • 「これくらいの価値ある仕事をしてくれるだろう」

という予測によってその額を決定します。

しかし、実際には期待外れだったり、見当違いであったりすることもあります。

そして、契約の途中で、その額は容易に変更できません。

能力に対して人件費が高過ぎるからといって、容易に解雇することもできません。

その際、企業には少なからず人件費に関するムダが生じてしまうのです。

 

社員にプレッシャーを与えてしまうことも

かと言って、年俸額に見合った働きをしてもらおうと過剰に期待してしまうと、それが却って社員にとってのプレッシャーとなり、パフォーマンスが落ちる原因にもなりかねません。

普通にしていれば良かったものを、変に張り切って空回りしてしまうことも。

そうなると、社内が混乱してしまうことになります。

あくまでも冷静でいられるように、社員をケアすることが重要です。

 

契約事項が複雑化し、従業員とのトラブルが起きやすい

年俸制は、月給制に比べ、社員と結ぶ就業規則やその他契約の内容が複雑化します。

あらかじめ細かく規定しなければならない内容は多岐に渡り、例えば、

  • ボーナスや賞与の支払い有無
  • 残業した場合の扱い
  • 契約途中で休暇を取ったり辞めたりした際の給与

等々、考えねばならないことがたくさんあります。

そのため、双方の認識が甘いままだと、と思わぬトラブルに発展しかねません。

【参考】インセンティブ制度の大枠を基本の「き」からざっくり把握!

 

まとめ

年俸制は、企業にとってはもちろんのこと、社員にとってもメリットがある制度です。

これからますます成果主義が重視されるようになる中、多くの企業で採用されるだろうとみられています。

導入を検討する際には、トラブルが顕在化しないよう、体制を整えた上で進めていきましょう。

【参考】実はブラック?転職サイトの求人の危険フレーズ3つと回避策

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