ビジネスパーソンが取得できる休暇には、大きく2つの種類があります。
一つ目が、法律によって取得が義務付けられている「法定休暇」。
そしてもう一つが、企業が独自で制定する「特別休暇」。
今回は、企業が特別休暇を制定するにあたって知っておくべき基礎知識や注意点を含め、ぜひとも参考にしたい事例についてメジャーなものからユニークなものまで紹介します。
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特別休暇とは?
特別休暇とは、福利厚生の一つのような位置づけで、会社が従業員に対して独自で与える休暇です。
- 対象者
- 取得できる日数
- 休暇中の給与の支払いの有無
等の具体的な中身に関しては、各企業で独自のルールを決めることができます。
そのため、年次有給休暇や育休といった法定休暇とは異なります。
これらは、一定年数以上勤務した者やその他条件を満たした者に取得の権利が与えられるもので、法律でその付与・取得が義務付けられているためです。
【参考】有給休暇義務化でどうなる?違反時の罰則と取得率向上の施策
特別休暇の主な例と取得条件
それでは、特別休暇の主な例に関して、メジャーなものからユニークなものまで一般的な取得条件も合わせて見ていきましょう。
結婚・出産休暇
まずは、結婚・出産に関するもので、文字通り結婚や出産に伴って取得できる休暇です。
挙式やハネムーン、出産、出産後の休養にあてられます。
結婚休暇の場合、その対象者は、原則として当人です。
他に、その知人や親族に認められるケースもあるようですが、極めて稀のようです。
出産休暇も、原則として当人ですが、最近は、配偶者にも認められる傾向にあるようです。
休暇を取得できる日数に関しては、一般的には、
- 結婚する当人は5日
- 親族や知人の場合は2日
- 産休は産前、産後合わせておよそ14週間
となるのが多いようです。
弔慰休暇(ちょういきゅうか)
次に、これもよく聞く休暇かもしれません。
この弔意休暇は、身内に不幸があった際、に取得できる休暇です。
葬式やお通夜、気持ちの整理にあてるために取得することができます。
多くの場合、亡くなった方と取得者の関係性によって取得できる日数は異なります。
- 1親等の場合は1週間前後
- 2親等の場合は3日前後
- 上記よりも遠縁の場合は当日のみ
となるのが一般的のようです。
リフレッシュ休暇
社員の心身のリフレッシュやストレスの解消を目的とした休暇です。
- 勤続年数が長い社員
- 日頃から企業に貢献している社員
が対象となります。
一般的には、1週間前後となることが多いようです。
しかし、勤続年数の長さや収めた成果によって取得できる日数が増減することもあります。
アニバーサリー休暇
結婚記念日や誕生日、その他、本人も含めて身内のお祝い事のために取得する休暇です。
基本的には、当日の1日のみの休暇となります。
しかし、休暇だけではなく、会社側からお祝い金などが支給されるケースもあるようです。
ボランティア休暇
社員が会社の外でボランティア等の社会貢献活動をする際に取得できる休暇です。
取得できる日数は取得者の状況や活動内容によって異なるようです。
大半は無給のようですが、会社の事業と関わりのある活動や、会社が推進しているボランティアに参加する際には、別途手当が支給されることもあるようです。
サバティカル休暇
サバティカル休暇とは、ある程度の勤続年数のある社員に比較的長期間の休暇を与え、日頃の会社への貢献を労ったり、社員のライフワークバランスを充実させたりすることを目的とした休暇です。
対象者は、多くの場合、勤続10年以上等、長期に渡り貢献した社員となりるようです。
休暇の日数は1ヶ月〜で、長いと数年になることもあります。
語学留学等スキルアップが伴う場合には、留学費用や補助金を支給している企業もあります。
社員の定着率を上げるための効果的な施策の一つと言えます。
失恋休暇
失恋休暇とは、株式会社チカラコーポレーションで導入されている特別休暇の一つです。
文字通りパートナーと別れた際に自分自身を慰め、精神を安定させることを目的としています。
心の病み具合によって取得できる日数が異なるのだとか。
何度失恋しても、その度に取得できるそうです。
恋多き男女には嬉しい制度ですね。
しかし、失恋したことが、会社にバレてしまいますけれども。
ずる休み休暇
ずる休み休暇とは、パスクリエイト株式会社が導入している休暇制度。
いかなる事情でも、その取得理由を正直に申告すれば最短当日でも取得できます。
しかし、無限に取得できるわけではなく、3ヶ月に1回までという制限が設けられています。
「ずる休み休暇」は、有休扱いとなることから社員にとって非常に魅力的な制度です。
ファミリーフレンドリー休暇
ファミリーフレンドリー休暇は、日本マイクロソフト株式会社で導入されている休暇制度。
働き方改革の推進やダイバーシティ&インクルージョンの取り組みの一環として、2017年9月から始まりました。
- 産休や育休
- 家族が病気にかかった
- 介護が必要になったりした
といった際の休暇を、一定期間有給として認めるという内容となっています。
【参考】サバティカル休暇とは?政府も勧める施策のメリットや課題
特別休暇を制定する際の注意点
まず、企業独自の特別休暇を制定する際には、
- 取得できる対象者
- 休暇の日数
- 他の制度との併用ができるか
といった類の、取得制限を設けます。
また、育休や産休など特定の社員に限定されるものだけでは不公平感にも繋がりかねません。
導入するなら、あらゆるニーズに対応できるようバリエーションを増やすことも重要。
それらを決定したら詳細を就業規則に明記し、社員に周知することも忘れてはいけません。
【参考】長時間労働の定義や法的な規定は?放置するとリスクや弊害も
まとめ
法定休暇とは別に、特別休暇として社員それぞれに合った休暇を制定することで、ライフワークバランスが充実するだけではなく、会社に対する満足度が上がります。
離職防止等にもつながるでしょう。
ここで挙げたの例を参考にしつつ、偏りが生じないようあらゆるニーズに対応できる特別休暇を制定してみてください。