昔、給与の支払いは「現金を封筒に入れて手渡し」が主流でした。
今は、銀行口座への振り込みが一般的です。
そして次の時代は、電子マネーかもしれません。
ご存知の通り、新型コロナの影響下で、デジタルマネーやキャッシュレス決済の普及が大きく進みました。
そのような中、政府は労働者の給与を電子通貨で支払う「給与デジタル払い」解禁のために、法整備を進めています。
今回は、解禁される前にぜひとも押さえておくべき基礎知識や、注目される背景、導入のメリットについて解説します。
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給与デジタル払いとは?
給与デジタル払いとは、銀行口座を介してではなく、資金移動業者が提供しているサービスを利用して、デジタルマネーで給与を支払うことです。
資金移動業者とは、例えば、PayPayやLINEペイ、メルペイ、楽天Edyなどのサービスを提供する事業者を指します。
これらは、ショッピングや請求書の支払いなど、日常のあらゆる場面で既にに用いられています。
給与デジタル払いはいつから解禁?
2022年現在においては、給与デジタル払いはまだ解禁されていません。
労働基準法第24条の「賃金支払いの5原則」に則って企業は社員に賃金を支払わなければなりません。
ちなみに、5原則とは、
- 通貨で
- 直接労働者に
- 全額を
- 毎月1回以上
- 一定の期日を定めて
になります。
明確な解禁時期については、2022年3月時点では未定のようです。
しかし、一説によると、2022年中を目指して動いているともされています。
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給与デジタル払いが注目される背景
では、なぜ、給与デジタル払いがこれから注目されるようになるのでしょうか。
理由はいくつか考えられます。
キャッシュレス決済の普及
まず、その要因の一つとして考えられるのがキャッシュレス決済の普及です。
お店、レストラン、医療機関、その他レジャー施設、公共交通機関など、今やあらゆる場所でキャッシュレス決済が普及し、日常生活で現金を使う機会は、減少してきました。
給与デジタル払いが解禁すれば、銀行口座の残高から逐一チャージをする必要がないため、利便性が格段にアップします。
職場におけるデジタル化の推進
次に、デジタル化は、職場においてもメリットが大きいということが言えます。
- 業務の効率化による生産性アップ
- あらゆるムダの削減
をはじめ、業務のデジタル化進めることは最早現代の常識化となっています。
労務や経理の仕事も例外ではありません。
給与の支払いもデジタルマネーで行うことが、これからのスタンダードになると予想されます。
外国人労働者の増加
更に、各業界において、外国人を積極的に雇用する企業が増えてきているということもあります。
外国人が日本の銀行口座を開設するのは大変、という事情があります。
かなり複雑な手続きが必要となり、場合によっては開設できないこともあるのだとか。
あらゆる働き手のニーズに応えるためにも、給与デジタル支払いへの移行が求められています。
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給与デジタル払いで期待できるメリットと課題
まず、給与デジタル払いの導入で期待できるメリットについてみていきましょう。
銀行口座を介すよりも手数料が割安
まず、銀行口座を介して賃金を支払うよりも手数料が割安になります。
もちろん、金融機関や条件によって振込時の手数料は異なるため、一概には言えません。
しかし、企業の法人口座と従業員の個人口座が異なる金融機関の場合、手数料の負担は必須となります。
多くの場合、1件振り込むのにかかる費用は数十円から数百円程度に過ぎません。
ですが、毎月多くの口座に振り込むとなると、その金額は無視できないものになります。
削減のインパクトは大きいでしょう。
業務が効率化する
資金移動業者の各種サービスにおける送金は基本的に無料です。
また、その手続きもオンライン上で完結させられることから、経理業務そのものがラクになります。
経理部の残業が減れば、人件費の削減にもつながるでしょう。
外国人労働者や日雇い労働者への給与支払いがラクになる
上で述べた通り、外国人が日本の企業で働く際の銀行口座の開設は大変です。
時間がかかるだけでなく、開設できないというケースもあります。
一方で、PayPayなどは電話番号やメールアドレスさえあれば誰でもアカウントを取得できます。
これらを使えば、外国人労働者への給与支払いをスムーズに行えるようになります。
外国人だけでなく、日雇い労働者や比較的短期間の雇用の場合も、デジタル払いの方が何かと融通が利くでしょう。
では、課題についても見ていきましょう。
資金移動業者が経営破綻した場合のリスク
金融機関の場合、万が一そこが経営破綻したとしても、保険が適用されます。
そのため、預金者の資金は保護され、心配はほとんどありません。
しかし、資金移動業者の場合はそうとは限りません。
各種サービスが停止してしまった際に払い戻しができない、補償がされないといった事態も起こり得ます。
個人情報などセキュリティ面での懸念
資金移動業者のサービスを利用する際には、まず身分証などで本人確認をすることになります。
それらの個人情報は、各事業者のデータベースに蓄積されます。
そのため、セキュリティ管理がしっかりなされていないと、利用者の個人情報が流出したり、不正送金が行われたりするリスクもあります。
気軽に使える分、悪意やエラーに対する脆さもあるのです。
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まとめ
キャッシュレス決済の更なる普及や働き手の多様化は今後も見込まれます。
働き手のニーズに応えるためにも給与デジタル払いの導入を企業は前向きに検討していくのが良いでしょう。
今後の技術の進歩や、政府の動きにも注目です。