“働き方改革“が広く受け容れられるようになってきました。
しかし、TwitterなどのSNSなどを見ていると、
「仕事が時間内に終わらない、けど残業できない」
という状況に陥ることは珍しくないようです。
その結果、隠れ残業を不本意ながらしてしまうケースも。
今回は、隠れ残業の意味を踏まえた上で、知らなかったでは済まされないその危険性や企業が講じるべき対策を紹介します。
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隠れ残業とは?
隠れ残業とは、仕事を自宅に持ち帰り、上司の目の届かないところで隠れて仕事をしたり、職場に申告せずに残業をしたりことです。
サービス残業とは似て非なる言葉。
隠れ残業の場合、その実態を会社や上司が把握できていないか、もしくは意図的に社員が隠している状態です。
テレワークの普及によって増加している
隠れ残業は労働者を取り巻く社会問題の一つとして以前からありました。
しかし、近年、リモートワークの普及により会社の外で仕事をする機会が急激に増えたことで、再び問題視されるようになりました。
自覚がなくても、プライベートと仕事の境界線が曖昧になってしまいがちになります。
業務時間外に仕事の連絡をしたり、調べ物をしたり、知らぬ間に隠れ残業をしているケースもあります。
しかし、必ずしも従業員にその発生原因があるというわけではありません。
勤怠管理やマネジメントが不十分だったり、業務時間削減のための圧力があったりと、会社にも少なからず責任があります。
【参考】テレワーク導入に際し気を付けるべき6つのリスクと3つの対策
隠れ残業の危険性
少しくらい大丈夫だろうと思ってその問題を放置してしまうのはご法度。
隠れ残業をする側、させている側の双方に、思わぬ危険が及ぶことがあります。
労働基準法、労働安全衛生法に抵触する
隠れ残業には、隠れているがゆえに、当然残業代は発生しません。
よって、企業は社員の業務時間外の労働に対する賃金や手当を支払っていないことになります。
そのため、隠れ残業の存在は、労働基準法に抵触することになります。
また、隠れ残業によってストレスや疲労が溜まり、社員が健康を害してしまった場合には、労働安全衛生法にも抵触する可能性があります。
社員の心身の不調につながる、最悪の場合過労死も
本来、休息やリフレッシュのための時間を隠れ残業に充てると、心身を病んでしまうリスクがあります。
最悪の場合には、過労死に至ることも十分考えられます。
また、隠れ残業を常習的に行っていると、プライベートとの区別がつかなくなります。
家族関係など日常生活そのものが破綻してしまうこともあります。
企業のイメージが悪くなる
隠れ残業の実態が明るみに出た際に、会社は社員や世間からのバッシングを受けることになります。
そうなってしまうと、企業のイメージがガタ落ちしてしまうのは避けられないでしょう。
その結果、ブラック企業と認識され、人材が流出したり、集まらなくなったり、と思わぬ二次被害に繋がることもあるでしょう。
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隠れ残業をさせないために企業が講じるべき対策
隠れ残業を従業員にさせないために、企業はどうすれば良いのでしょうか。
主な対策についていくつか見ていきましょう。
隠れ残業している社員を見つける
まず、何よりも、隠れ残業をしてしまっている社員を早期に見つけるのが最重要。
物理的な証拠を見つけておくのも有用。
- タイムカードの打刻や始業時刻、終業時刻の現認
- パソコンのログイン、ログアウトの履歴
- メールやチャットの送信時間
など物理的な証拠を見つけ、その実態を明らかにします。
自己申告が信頼に足るものかどうか確認する
社員が、自ら隠れ残業を隠そうとすることもあります。
特に、まじめで責任感が強い従業員ほど、隠れ残業を隠そうとするのです。
また、「有能だと周りに認めてもらいたい」という意向の強い従業員も、残業を隠しがちです。
短い時間内では終わるわけのない業務が、時間内で終わっていると見せたいのです。
この場合、なかなか本音を聞き出し、認めさせるのは難しいもの。
日常会話の中でサラリと話を振ってみて、実態について探りを入れるのが精々でしょう。
業務量を減らす取り組みを行う
業務量が多すぎて、時間内では到底終わらないということもあります。
- ノルマが厳しすぎる
- 雑務が多すぎる
- アナログ過ぎて時間がかかる
など、理由は様々でしょう。
業態によっては、繁忙期でやむなく、ということもありますが、無理のないよう采配しなければなりません。
加えて、業務量や負担を減らすために、
- ムダな会議を減らす
- 大して意味の内報告業務を見直す
- 内向きの会議用の資料作成を簡素化する
- ツールを導入して自動化したりする
など、見渡してみると、案外できることは多いものです。
隠れ残業させないための仕組みを作る
いくら対策を講じても完全になくすことが不可能なケースもあるでしょう。
- 会社のPCや備品などの社外への持ち出しを制限する
- 隠れ残業した者にはペナルティを課す
など、厳しい措置を取るすることも検討しましょう。
もちろん、終わらない量の仕事を振らないようにすることが第一です。
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まとめ
テレワークなどは、本来、社員のライフワークバランスを充実させるための施策のはずです。
それが却って隠れ残業や労働法に抵触する働き方を誘発させていることがあるということです。
これから更に働き方が変容していくとみられる中、企業は隠れ残業だけでなく、不当な労働を社員にさせないためにも、今まで以上に勤怠管理や業務量の調整を慎重に行い、快適な職場環境を作る努力をしていきたいものです。