長時間労働の定義や法的な規定は?放置するとリスクや弊害も

労働者を取り巻く環境改善の取り組みが、政府をはじめ社会全体でなされるようになってきました。

そのおかげか、長時間労働の問題は以前よりも減少傾向にあるとされます。

しかし、過労死の報道もしばしばニュースで飛び交うことがあります。

まだまだ無視はできるものではありません。

今回は、そもそも長時間労働とはどのようなものか、その定義を踏まえた上で、それによる働き手、企業のリスク、弊害について紹介します。

【参考】実はブラック?転職サイトの求人の危険フレーズ3つと回避策

 

長時間労働の定義について

働き方改革など、労働者を取り巻く環境改善に向けた取り組みが以前よりも活発化しています。

しかし、まだまだ根本的な解決には至っていないとされます。

特に長時間労働の問題については、未だ多くの課題が残されており、そもそも十分な認識が成されていないのが現状です。

そもそも、「〇〇時間以上働いたら長時間労働」という明確な定義や法律の規定はありません。

これは、基本的に個人の感覚に委ねられるものです。

そのため、本人は意識していなくても側から見たら働きすぎであったり、その逆もまた然りです。

しかし、一般的には、

  • 法定労働時間である1日8時間、週40時間を超える場合
  • 残業の月平均が80時間を超える過労死ラインに達する場合

になると、明らかに長時間労働であると言えます。

 

違法行為に巻き込まれることも

労働者である当人が長時間労働していることを認識していなかったり、もしくは、長時間労働に対して無知なままでいると、企業側にそれを逆手に取られ、不当な労働を強いられてしまうこともあります。

たとえば、

  • 企業が残業代や各種手当の支払い義務を怠る
  • みなし残業と言って誤魔化して不当に社員を働かせる

といったケースは、実際に存在します。

認識が甘いと、そのような違法行為が問題として可視化されず、知らず知らずの内に劣悪な労働環境の中で働かされるという事態にも陥りかねないのです。

【参考】新卒者の早期離職や転職はアリ?認識しておくべき注意点3つ

 

長時間労働による弊害やリスク

長時間労働は、働き手の当人はもちろんのこと、それをさせている企業側にも多くのデメリットが生じます。

まず、従業員側のデメリットについて見ていきましょう。

 

集中力が低下し思わぬ事故やケガにつながる

長時間労働する機会が増えれば当然疲労が蓄積します。

集中力が低下すれば、仕事の生産性も低下するでしょう。

特に重機など、危険な道具を扱う仕事の場合、集中力の低下が思わぬ事故やケガの原因にもなります。

また免疫力も低下するため病気にかかりやすくなったり、疲れが取れにくくなったりすることもあります。

長距離トラックのドライバーなんかがよく話題になりますね。

 

精神疾患や自殺などに追い込まれる

事故やケガの発生リスクが高まるだけでなく、長時間労働によって心の健康も徐々に蝕まれていきます。

不調に気付いてすぐに対処できれば良いですが、精神的な問題はなかなか当人には気付かないもの。

長時間労働に慣れていたり、それが当たり前の環境にいると、ある日突然異変がやってきます。

朝、どうしても起きられなくなったり、お腹が痛くなったりすることが頻発します。

それから、うつや適応障害など精神疾患になり、休職に至るケースも少なからず。

そして最悪の場合、過労死や自殺などに至ることもあります。

 

私生活にゆとりがなくなる

長時間の労働をすれば、当然会社で拘束される時間も増えます。

そのため、友人や家族と過ごす時間、趣味や休息に費やす時間が減ります。

自然と仕事が生活における最優先事項となり、

誘いを断っているうちに友達がいなくなる(誰からも声がかからなくなる)

家族関係が悪化する

といった具合で、日常において様々な支障が発生するでしょう。

これらは、私生活における孤立を深め、精神状態にも影響してきます。

 

そしてもちろん、企業にもデメリットがあります。

具体的に見ていきましょう。

 

無駄な人件費が増える

従業員に長時間労働をさせるとそれだけ人件費の負担も大きくなり、ムダが増えます。

残業をさせれば当然残業代や割増賃金の支払いが発生します。

その他にも深夜、休日出勤の別途手当も支給しなければならないためです。

また、オフィスの電気を点ければ、光熱費も上がってしまうでしょう。

 

人材の流出、定着率の悪化につながる

長時間労働や過酷な残業を当たり前のように課していては、人材の流出や定着率の悪化などのリスクも顕在化しやすいでしょう。

終身雇用が崩れた昨今、働き手はより良い職場環境や経済的地位を得るために容易に転職するようになっています。

結果として、働き手を補充するための採用コストや手間も余分にかかってしまうのです。

 

ブラック認定される、企業イメージが下がる

また、長時間労働を強いている企業は、すぐにブラック認定されてしまいます。

転職口コミサイトに悪口を書かれてしまうと、削除するのはなかなか大変。

Openwork転職会議キャリコネといったサイトを、求職者は見ているもの。

いくら健全な経営をしているつもりでも、求職者から穿った目で見られてしまうリスクがあります。

  • 社会的評価が落ちる
  • 企業イメージの大幅ダウンにつながる

などの事態につながります。

「この会社、ブラックだな」と思われると、従業員を他者に引き抜かれることも起こりえるでしょう。

【参考】また若手が退職?早期離職防止のため知るべき原因と対策3つ

 

まとめ

長時間労働は社員にとっても企業にとっても良いことがありません。

そのため、そのような兆候があれば、早急に実態を把握し、改善・是正に向けた取り組みをしていく必要があります。

しかし、たくさん働く、残業することを美徳としている企業も根強いのが現実。

その場合は、そもそもの認識を変え、根本から意識改革していかないと改善には上手くつながりません。

働き手側も、自分を守るために、自分の職場環境や労働実態に対する意識を高め、企業の不当行為に遭遇したらすぐに職場を変える、通報するという積極的な姿勢が求められます。

【参考】みなし残業=ブラック?導入している企業に応募の際の注意点

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