あれ?自分のことを言われているのかな?と思ってつい振り返ってしまう。
パーティ会場など騒がしい場所でも、自分の名前を呼ぶ友人の声は聞こえてしまう。
他にも、ネットを見ていて自分に関係ありそうな情報が目に飛び込んできてしまう。
誰でも一度はこんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。
これは、「カクテルパーティ効果」が関係しているかもしれません。
今回は、カクテルパーティ効果について、その意味やメカニズムを踏まえた上で、マーケティングにおける活用例を紹介します。
【参考】ディドロ効果とは?「揃えたい」心理をマーケティングで活用
カクテルパーティ効果とは?
カクテルパーティ効果とは、パーティやクラブなど、大勢の人がしゃべっていたり複数の音が入り乱れていたりする騒がしい場所でも、自分に関係のある情報にはなぜか反応してしまう効果を意味します。
たとえば、
- 騒がしい場所でも、自分の名前を呼ぶ友人の声にはなぜか反応できる
- 自分と一対一で話している相手の声ならはっきりと頭に入ってくる
といった現象です。
また、自分の興味のある話題を話している他人の声など、「もともと興味、関心を寄せていることに自然と注意がいくこと」も、カクテルパーティ効果の一例として挙げられます。
カクテルパーティ効果のメカニズム
カクテルパーティー効果は、イギリスの認知心理学者であるエドワード・コリン・チェリー氏によって提唱された理論。
「なぜそのような現象が起きるか」については、人間の脳の「選択的注意」という機能が大きく関連していると言われています。
選択的注意とは、脳の情報処理方法の一種。
「興味や関心のない情報からはなんの意味も受け取らず、自分にとって必要な情報や有益な情報だけを自然に選別処理し取り入れる」
といったことで、チェリー氏の行った実験によってそのことが証明されました。
これは話し声など、聴覚的な情報に限りません。
文面やイメージなど、視覚的な情報にも当てはまるのです。
つまり、
- 聞きたいことは聞くことができる
- 見たいものを見ることができる
- 知りたいことを知るということができる
というのが、カクテルパーティ効果のメカニズムになっているのです。
うまく使えば相手の好感を得られることも!?
カクテルパーティ効果は、あくまで自分に関わりのあることに対して「自然」に注意を向けてしまう、という現象。
ですので、それを逆手にとって利用すれば、相手の好感を得られる可能性があります。
例えば、恋愛や友人関係。
何気ない会話の中でも、あえて相手の名前を呼んであげることで親密度が増します。
呼ばれた方も、最初は全く意識してなくても、呼んでくれた相手のことが気になるようになります。
このように、「人為的」にカクテルパーティ効果を発生させられれば、対人関係におけるあらゆるシチュエーションで有利な状況に持っていくことも可能なのです。
【参考】マーケターは絶対見ないで!カリギュラ効果を活用するコツは
マーケティングにおける活用例
以上のことから、カクテルパーティ効果は、ビジネスシーンで用いられることも多々あります。
例えば、商品のキャッチフレーズやセールストーク、広告や宣伝などマーケティング戦略の一環としての活用です。
無数の宣伝や広告が、現実だけではなく、ネットの世界にも溢れかえっている今の時代。
ユーザーに無視されるだけの「ノイズ」ではなく、興味を持たれるような「シグナル」を発すること、そして顧客に対し強い印象を与えることは、もはやマーケターの常識とも言えるでしょう。
それでは、実際の活用例について見ていきましょう。
DM(ダイレクトメール)
まず、マーケティングにおいてカクテルパーティ効果を使用する際の基本として挙げたいのは、「顧客やターゲットの名前などの個人情報に加えて、丁寧かつ親しみを込めた文面を添えること」です。
その典型例としてネット通販や各種サービス会員に定期的に送付されるDMが挙げられるでしょう。
登録情報を参考にしながら、例えば、
「いつもご利用いただいている〇〇様だけの特別割引のご案内」
「〇〇様、プレミアム会員様だけのお得情報」
などが挙げられます。
広告・宣伝のキャッチコピー
次に、広告や宣伝のキャッチコピーとして使う方法です。
商品やサービスの広告・宣伝の際のキャッチコピーとして活用する際には、読み手の氏名など個人情報は分かりません。
なので、ターゲット層の属性やライフスタイル、心理を予測・分析した上で、興味を惹くようなフレーズを考えていきます。
例えば、
「夏までに痩せたい女性のための〇〇」
「年収400万円から買えるマンション特集」
「60歳からでも入れる医療保険」
「血圧〇〇超えたら飲みたい〇〇」
といったフレーズが考えられます。
【参考】他人を気にする心理「スノッブ効果」を活用して集客倍増を!
まとめ
カクテルパーティ効果は、日常生活の中でも多く見られます。
これをうまく活用することで、商品やサービスの提供者が狙うターゲットに、より効率的かつ効果的な販促ができるでしょう。
マーケティングに活用する際には、いかにして特定の人物の興味を惹ける「シグナル」を送れるかが重要となります。
「皆様」「方々」といった、複数対象を指すフレーズを用いるとその効果が薄れてしまいます。
よって、これらは、なるべく避けるようにした方が賢明と言えるでしょう。
とはいえ、一般的には、広告・宣伝のキャッチコピーで用いる際には、相手の情報がなかなかわからない状況で使用するケースも多いはず。
まずは、ペルソナ分析などを実施し、ターゲットについてのイメージを明確にした上で活用することが大切です。