新卒の定着率が悪い。
今のところちゃんと働いてくれているけど、やる気がないように見える。
話していても捉えどころがなく、このままではいつ辞めるか分からず、不安。
そのように感じている人事担当者は少なくないはずです。
何か手を打たねば、と思っている方に向けて、ここでは、新卒の定着率を高めるための施策6つについて、具体的に見ていきます。
「会社のために」はもう古い
昔は、賃金を受け取る代わりに社員が企業の意向に合わせる、会社のために奉仕する、という働き方の風潮がありました。
いわゆる、昭和的価値観というものがそれかもしれません。
しかし、人手不足、働き方改革などが叫ばれる今日においては、企業はそのスタンスを一新し、より社員の働きやすさやライフワークバランスを尊重する組織へと変えていく必要があります。
単に新入社員を優遇すれば良いというわけではなく、社員、企業双方がウィンウィンの関係になることができ、入社後にしっかりと定着してもらうための仕組みづくりをしていくことこそが重要と言えるのです。
入社後、3年以内におよそ3割、4割とも言われる新卒が辞めている現状を踏まえ、離職の低下、定着率の向上に関する各種の課題に、早急に対処していかなければなりません。
これからの時代に欠かせない新卒の定着率のための6つの社内施策
これからの時代において、事業運営を進めていく際には、企業の利益はもちろんこと、社員がいかに快適に働けるか、その環境づくりが欠かせません。
それでは、それらを実現させるための具体的な施策について6つ見ていきましょう。
①エンプロイージャーニーマップ
エンプロイージャーニーマップは、社員が入社してから退社するまでに経験、体験するあらゆる出来事を事前に可視化したものです。
「こんな制度があったらいいな」「こんなサポートがあったら快適に働けそう」と社員の視点から考え、具体的な社内施策作りのきっかけ作りの際に用いられます。
また、マップを作成することにより自社にとって本当に必要な社員の理想像を描くことができるため、採用時のミスマッチの防止にもつながります。
【参考】エンプロイージャーニーマップとは?作成手順や注意点を解説
②インターンシップ
インターンシップは従来より広く活用されてきた仕組みですが、新卒の早期離職が問題になっている昨今において、改めて注目を集めている社内施策です。
インターンを実施し、自社の実務を入社希望者に体験してもらうことで、業務の具体的な内容を始め、社風、企業の内情、社員について理解を深めてもらうことができます。
一方、実施する側も候補者のスキルや働きぶり、適性などを入社前に確認できるため、同じく採用のミスマッチを防げます。
そして、インターンシップの運営者に社内の若手を起用したり、若手をインターン生と交流させたりすることで、若手の愛社精神醸成にも寄与したりします。
③メンター制度
メンター制度とは、直属の上司、先輩に加え、他部署の同僚や担当者を新入社員の相談役として割り当てる制度です。
業務に直接関わる指導や相談ではなく、主に職場の人間関係や仕事や処遇に対する不満、悩み、キャリア形成など、個人的な問題についての相談相手になることが主な目的となっています。
この制度を導入することで、業務上、利害関係の有る上司ではなかなか言いにくい悩み事を打ちやけやすくなり、新入社員の精神的ケアにもつながります。
④One on One
One on One(ワン オン ワン)とは、上司と部下、先輩と後輩、それぞれ一対一で行うミーティングやヒアリングを指します。
教育や指導、コーチングを始め、悩み相談、パフォーマンスの評価など、実施する目的はその状況によって異なります。
One on Oneを実施することで、他の社員の目を気にせず率直な悩みや不満等を社員から聞き出すことができ、実施する側もそれぞれの社員に合った的確な対応ができます。
一方で、圧迫感を感じて嫌な気持ちになる、一方的にダメ出しをする場になる、というの問題もあるため、逆効果にならないよう配慮しながら実施しましょう。
⑤コンプライアンス通報窓口
コンプライアンス通報窓口の設置は昨今の社会動向の変化によりもはや常識化しつつある施策です。
職種や業界問わず、サービス残業の実施や残業代不払い問題、その他モラハラやセクハラ、パワハラと言った社内問題から社員を救うため、窓口の設置は欠かせません。
コンプライアンス強化に取り組むことに加え、誰でも気軽に通報、相談できる場所を確保することで、社員の救済はもちろんこと、あらゆる社内問題を未然に防ぐ抑止力にもなります。
窓口を設置する際には、社外の弁護士や心理カウンセラーなど、各種問題の専門家へ連絡できるようにすることで、よりその効力を発揮できます。
⑥同期コミュニティ
新入社員の離職を防ぐ、退社しにくい環境を作るという点で、同期コミュニティの構築も非常に効果的です。
同じ時期に入社した社員同士の結束が強ければ、互いに様々な悩みを相談し合える関係であることはもちろん、実務をこなす際にもお互い協力ができ、何か問題が発生した際も助け合うことができるため、場合によっては上司や先輩が対処するよりも効果的なこともあります。
具体的な施策としては、アイスブレイクを交えた研修やイベント事を盛り込んだオンボーディングの実施があり、楽しみながら企業への理解、そして結束を深める、という点がポイントとなります。
まとめ
流行りに便乗し、何もかも新しくすれば良いわけではありませんが、少なくとも従来の制度が需要や社会全体の動向にマッチしているか、という考えを持つことはこれから事業運営をしていく上で欠かせないことです。
企業、社員双方が理解し合えるようになるために、改善すべき点としては、これらの施策を参考にし見直していきましょう。